見積りは何日もらえる?500万円以上の工事は10日以上と決まっています
見積りにどれだけ時間をもらえるかは、話し合いで決まるものではありません。工事の金額に応じて、注文者が設けなければならない日数が政令で決まっています。「明日まで」は、金額によっては通りません。
見積りを急かされて、中身を詰めきれないまま数字を出してしまう、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。
見積期間の結論
- 予定価格が500万円未満なら1日以上、500万円以上5,000万円未満なら10日以上です
- 5,000万円以上は15日以上。これは注文者が設けなければならない期間です
- やむを得ない事情があるときは短縮できますが、5日以内までです
お急ぎの方は一度以下HPまたはLINEから、お気軽にお問い合わせください。
複雑な手続きは専門家にお任せください。初回相談は無料です。
見積期間は政令で決まっています
建設業法は、注文者に対して、建設業者が見積りをするために必要な一定期間を設けなければならないと定めています。その日数は政令で決まっていて、工事の予定価格によって3つに分かれます。
国土交通省の発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドラインは、500万円未満は1日以上、500万円以上5,000万円未満は10日以上、5,000万円以上は15日以上としています。
ここで大事なのは、これが注文者の義務だということです。見積りを出す側が「時間をください」とお願いする話ではありません。
そして、元請が下請に工事を出すときも、元請が注文者になります。自分が見積りを取る立場になったときにも同じルールが効きます。
短縮できるのは、上の2つだけです
実際の現場では、どうしても日程が詰まることがあります。そのための逃げ道も用意されています。
ガイドラインは、やむを得ない事情があるときは、イ及びウの期間は、5日以内に限り短縮することができるとしています。イとウというのは、10日以上と15日以上の区分のことです。
つまり、500万円未満の1日以上は短縮できません。もともと1日しかないので、そこからさらに削ることはできない、という形になっています。
10日以上のほうは、5日を限度に縮められます。ただしやむを得ない事情があるときという条件が付いています。単に急いでいる、という理由では足りません。
| 工事の予定価格 | 設けるべき期間 | 短縮 | 短縮後の下限 |
|---|---|---|---|
| 500万円未満 | 1日以上 | できません | 1日 |
| 500万円以上 5,000万円未満 |
10日以上 | 5日以内に限り | 5日 |
| 5,000万円以上 | 15日以上 | 5日以内に限り | 10日 |
短縮には、やむを得ない事情があることが前提です。金額の区分は工事の予定価格で見ますので、契約の直前に金額が動いたときは区分も確認してください。
期間はいつから数えるのか
次に問題になるのが、いつから数えるかです。ガイドラインは、この期間を受注予定者に対する契約内容の提示から当該契約の締結又は入札までの間に設けなければならない期間としています。
読み替えると、契約の中身を示した日から、契約を結ぶ日までの間ということです。「見積りをください」と声をかけた日ではありません。
ここが実務でずれます。声はかけたが、図面も工程も出ていない。この状態では、受注予定者は何も計算できません。示すべき内容が示されて、はじめて期間が動き出します。
提示すべき条件がそろっていますか
では、何を示せば「契約内容の提示」になるのか。ガイドラインは提示すべき見積条件として、次のようなものを挙げています。
- 工事名称
- 施工場所
- 設計図書
- 責任施工範囲
- 全体工程
- 見積条件
- 施工環境、施工制約に関する事項
並べてみると、どれも数字を出すために要るものばかりです。責任施工範囲が曖昧なままだと、どこまで自社が負うのか分かりません。全体工程が出ていなければ、人の手配も資材の手配も組めません。
これらが示されないまま日数だけが過ぎているなら、期間を与えたことにはなっていないと考えるのが自然です。急かされたときは、まず条件がそろっているかを確認してください。
見積りの中身については、【建設業法】労務費を削った見積りは出せません。令和7年12月から基準ができましたもあわせてご覧ください。なお、契約に関する税務の取扱いは税理士へ、現場の労務管理や社会保険の手続きは社労士へ、紛争になったものは弁護士へおつなぎします。
見積期間でよくある質問
Q. 300万円の工事で「今日中に」と言われました。これは問題ありませんか。
500万円未満の区分は1日以上とされていますので、その日のうちに出させる形は期間を設けたことになりません。翌日までは待つ必要があります。短い区分なので見落とされやすいところですが、ゼロでよいわけではありません。
Q. 図面が出ていないまま「10日経った」と言われました。
期間は契約内容の提示から数えます。設計図書や全体工程といった見積条件が示されていなければ、計算のしようがありません。いつ何を受け取ったかを記録に残したうえで、条件の提示を求めてください。メールで受け取っておくと日付が残ります。
Q. 元請として下請に見積りを頼むときも、この日数が要りますか。
要ります。下請契約の注文者は元請です。自社が発注者から短い期間で急かされている場合でも、その事情をそのまま下請に移すことはできません。全体の日程を組むときに、この日数を先に差し引いて考えてください。
見積期間の理解度クイズ
Q1. 予定価格1,000万円の工事で、設けるべき見積期間はどれでしょう。
A. 1日以上
B. 10日以上
C. 15日以上
答えを見る
正解:B。5,000万円以上になると15日以上です。
Q2. 短縮できない区分はどれでしょう。
A. 500万円未満
B. 500万円以上5,000万円未満
C. 5,000万円以上
答えを見る
正解:A。短縮できるのは10日以上と15日以上の区分です。
Q3. 見積期間はいつから数えるでしょう。
A. 声をかけた日
B. 契約内容を提示した日
C. 見積書を出した日
答えを見る
正解:B。条件がそろって、はじめて動き出します。
条件の提示を求めて日程が動いた事例
流山市の内装業の方から、元請から翌々日までに見積りを出すよう言われているというご相談をいただいたことがあります。工事の規模は1,000万円ほどでした。
うかがうと、図面は届いていましたが、全体工程と責任施工範囲が示されていませんでした。他社との取り合いがどこまでか分からない状態です。
そこで、足りない条件を1枚の紙にして、元請へ提示をお願いしました。結果として、条件が届いた日から数え直す形になり、日程に余裕ができました。争ったわけではなく、必要なものを挙げただけです。
急かされたときのワンポイントアドバイス
見積りを頼まれたら、まず受け取った日と、受け取ったものを書き留めてください。図面をもらった日、工程をもらった日。別々でも構いません。
そのうえで、足りないものがあればその場で聞くのではなく、一覧にして渡します。口頭だと、何を求めたかが残りません。メール1本でも、日付と内容が残ります。
記録が残っていると、あとで「期間が足りなかった」という話をするときに、こちらの言い分に裏が付きます。その場で戦うためではなく、あとで説明できるようにしておくという考え方です。
見積期間のまとめ
- 見積期間は注文者が設けるもので、日数は政令で決まっています
- 500万円未満は1日以上、500万円以上5,000万円未満は10日以上です
- 5,000万円以上は15日以上になります
- やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮できますが、1日以上の区分は短縮できません
- 期間は、受注予定者に契約内容を提示した日から数えます
- 設計図書や全体工程などの条件が示されていなければ、期間は始まっていません
つまずくのは、急かされたときに日数の定めがあること自体を知らない場面です。知っていれば、条件の提示を求めるという形で話ができます。
行政書士むらた事務所では、流山市・柏市・松戸市を中心に(内容によってはオンラインで全国対応)、建設業許可の申請と、下請契約や見積条件の書面の整備をお引き受けしています。契約に関する税務の取扱いは税理士へ、現場の労務管理や社会保険の手続きは社労士へ、紛争になったものは弁護士へおつなぎします。
「この期間で足りているか」の段階で構いません。初回相談は無料です。当事務所へのご相談はHPまたは公式LINEから24時間受け付けております。
是非お気軽にご相談ください。
複雑な手続きは専門家にお任せください。初回相談は無料です。


