現場の許可票、下請は出さなくてよくなりました。店舗の分は全員です
工事現場に掲げる建設業の許可票は、いまは元請だけが出すものです。下請として入る現場に、自社の許可票を用意する必要はありません。
現場に入るたびに許可票を作っていた、あるいは元請から求められて困った、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の建設業者様からのご相談をもとに整理します。
この記事の結論
- 令和2年10月1日から、工事現場の許可票は元請業者だけが掲げます
- 店舗の許可票は、許可を受けた業者すべてに掲示の義務があります
- 店舗用と現場用では、寸法も書く内容も違います
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条文のかっこ書きが、元請だけに絞っています
建設業法の標識の掲示の規定は、こう書かれています。建設業者は、その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負つたものに限る。)の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げなければならない、です。
読むべきはかっこの中です。「発注者から直接請け負つたもの」が元請を指します。下請として入る工事は、発注者から直接請け負ったものではないので、現場の標識の対象から外れます。
鳥取県の案内には、この変更の時期がはっきり書かれています。令和2年10月1日、建設業法が改正され、工事現場に掲げる建設業許可証の掲示義務は元請業者のみとなりました。
注意したいのは、店舗はかっこの外にあることです。店舗及び現場ごとに、という形なので、かっこは現場にだけ付いています。店舗の標識は許可業者すべてに残っています。
店舗用と現場用は、別の紙です
よくある誤解が、許可票は1種類だと思っていることです。店舗用と現場用で、寸法も記載事項も違います。
国土交通省中部地方整備局の解説では、寸法が次のように示されています。店舗用はたて35センチ以上、よこ40センチ以上。現場用はたて25センチ以上、よこ35センチ以上です。店舗用のほうが大きい形になります。
記載事項も違います。店舗用は、商号又は名称、代表者の氏名、一般建設業又は特定建設業の別、許可を受けた建設業、許可年月日、許可番号、国土交通大臣又は知事のどちらかです。
現場用はこれに技術者の情報が入ります。主任技術者の氏名、専任の有無、資格名、資格者証交付番号などです。監理技術者を置く現場では、主任技術者の欄を監理技術者に書き換えます。
専任でない場合の書き方も決まっています。非専任(監理技術者を補佐する者を配置)と記載する形です。現場ごとに技術者が変わるので、現場用は使い回せません。
| 項目 | 店舗用 | 現場用 |
|---|---|---|
| 掲げる人 | 許可業者すべて | 元請業者のみ |
| 寸法 | たて35センチ以上、よこ40センチ以上 | たて25センチ以上、よこ35センチ以上 |
| 技術者の記載 | なし | 主任技術者または監理技術者の氏名、専任の有無など |
| 使い回し | できる | 現場ごとに作り直す |
下請の情報は、別のところに出ています
では下請がどこにも出てこないのかというと、そうではありません。鳥取県の案内では、下請業者を明らかにするため、施工体系図に下請負人に関する記載事項が追加されていますと説明されています。
許可票を1枚ずつ並べるのをやめて、施工体系図のほうに情報を寄せた形です。現場の掲示板が許可票で埋まる状態を整理したものと読めます。
そのため、下請として現場に入る場合も、自社の許可の情報を元請へ渡す必要は残ります。渡した先が許可票ではなく施工体系図になった、という理解が実務に合います。
あわせて、令和2年9月30日以前に契約した工事の扱いも書かれています。従前の施工体系図で構わず、その場合は元請業者と下請業者すべての許可証を掲示するとされています。いまから新しく始まる工事では出てこない話ですが、長期の工事が残っている場合は確認してください。
店舗の許可票は、意外に抜けています
相談の中で多いのが、現場の話ばかり気にして店舗の許可票が貼られていないケースです。改正で現場が元請だけになったことから、店舗も要らなくなったと受け取ってしまう形です。
店舗用は、許可を受けた業者であることを示すために掲げるものです。許可の更新で番号や年月日が変わったときは、作り直しが必要になります。
掲げる場所は「公衆の見やすい場所」です。事務所の奥の壁ではなく、来訪した人の目に入るところに置きます。立ち入り検査で見られるのもここです。
なお、デジタルサイネージなどによる掲示も、一定の条件のもとでは認められているとされています。導入を検討する場合は、条件を許可行政庁に確認してから進めてください。
建設業の許可票でよくある質問
元請から下請の許可票を出すよう言われました
法律上の義務としては、下請に現場の掲示義務はありません。ただ、元請が現場の管理として独自に求めることはあります。断る話ではなく、施工体系図に自社の情報が載っていることを伝えたうえで、元請の運用に合わせるのが現実的です。安全書類の一部として扱っている現場もあります。
営業所が2つあります。許可票も2枚いりますか
店舗ごとに掲げるものなので、本店と支店の両方に必要です。従たる営業所も店舗にあたります。許可番号は同じなので、同じ内容のものを枚数分そろえる形になります。営業所を増やしたときは、許可の変更届と一緒に用意してください。
許可の更新をしました。許可票はそのままでよいですか
許可年月日と許可番号の欄が変わるため、作り直しになります。更新のたびに書き換える欄があると覚えておくと、忘れずに済みます。業種を追加したときも、許可を受けた建設業の欄が変わります。
許可票の掲示をケースで確認
自分の案件に置き換えて読んでみてください。答えは隠してあります。
ケース1 流山市の内装工事会社です。柏市の現場に下請として入ります。元請はほかにも3社の下請を使っています。自社の許可票はどうすればよいでしょうか。
ア 現場に自社の許可票を掲げる。下請も掲示の義務がある
イ 現場に掲げる必要はない。ただし店舗には自社の許可票を掲げておく
ウ 現場も店舗も不要。下請の立場であれば掲示の義務は生じない
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答え:イ
条文は「その店舗及び建設工事(発注者から直接請け負つたものに限る。)の現場ごとに」です。かっこは現場にだけ付いているので、現場は元請のみ、店舗は許可業者すべてになります。下請として入る現場の掲示は不要で、店舗の掲示は残ります。
アは改正前の扱いです。令和2年10月1日より前はこの形でした。ウは、下請なら全部不要と広げています。店舗の義務は立場で変わるものではなく、許可を受けていること自体から出てきます。
ケース2 松戸市の工務店です。元請として現場に許可票を掲げます。現場の主任技術者が、途中で別の社員に交代することになりました。許可票はどうなるでしょうか。
ア そのままでよい。会社の許可の情報が書かれているので、技術者が変わっても内容は変わらない
イ 主任技術者の氏名の欄を書き換える。現場用には技術者の情報を記載する
ウ 工事が終わってから、まとめて修正したものに差し替える
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答え:イ
現場用の許可票には、主任技術者の氏名、専任の有無、資格名、資格者証交付番号などを記載します。技術者が交代すれば、書かれている内容と現場の実態が合わなくなります。交代の日に書き換えるのが正しい扱いです。
アは店舗用の感覚です。店舗用には技術者の記載がないので、こちらなら作り直しは生じません。ウは工事が終わってから直すとしていますが、掲示は工事の最中に見せるためのものです。終わってから直しても意味が残りません。
ケース3 柏市の建設会社です。許可の更新が終わり、新しい許可番号が出ました。店舗の許可票は10年前に作ったものが掲げてあります。何をすればよいでしょうか。
ア 許可番号は会社ごとに決まるので、更新しても変わらない。そのままでよい
イ 許可年月日と許可番号の欄が変わるため、新しい内容のものに作り直す
ウ 古いものの上に新しい許可番号を書いた紙を貼る。全体を作り直す必要はない
答えと解説を開く
答え:イ
店舗用の記載事項には許可年月日と許可番号が入ります。更新で許可年月日が変わるため、掲示の内容も合わせます。10年前のものであれば、途中で業種を追加していないかも確認してください。
アは許可番号が一生変わらないと考えています。番号そのものの考え方は許可行政庁の扱いによりますが、許可年月日は更新のたびに動きます。ウは上貼りで足りるとしています。見やすい場所に正しい内容を掲げるのが趣旨なので、継ぎ足した紙が読みにくければ目的を満たしません。
流山市の建設業者様からのご相談
流山市の建設業者様から、現場ごとに許可票を作るのが負担だというご相談をいただいたことがあります。下請として複数の現場に入っておられる会社でした。
うかがうと、改正を知らずに現場の数だけ許可票を用意しておられました。元請から求められた現場もあり、必要なものだと受け取っておられたようです。
条文のかっこ書きをお見せして、現場の分は元請のみであることをご説明しました。あわせて事務所の許可票を確認したところ、更新前の許可年月日のままになっていました。現場の手間が減り、店舗の1枚を作り直す形に整理できました。
許可票でつまずかないためのワンポイントアドバイス
いま掲げている店舗用の許可票を、一度写真に撮ってください。許可年月日と許可番号を、手元の許可通知書と見比べます。
ここがずれていたら作り直しです。そして、次の更新の月を許可票の裏にメモしておいてください。更新のときに作り直すものだと決めておけば、確認の作業が5年に1回で済みます。
元請として現場に出る場合は、現場用の様式を1つ用意して、技術者の欄だけを差し替える形にしておくと早いです。現場ごとに作り直すのは技術者の情報の部分だけです。
建設業の許可票の掲示のまとめ
- 令和2年10月1日から、工事現場の許可票は元請業者だけが掲げます
- 店舗の許可票は、許可を受けた業者すべてに義務があります
- 店舗用はたて35センチ以上よこ40センチ以上、現場用はたて25センチ以上よこ35センチ以上です
- 現場用には主任技術者または監理技術者の氏名などを記載します
- 下請の情報は施工体系図のほうに記載事項が追加されています
実務でつまずくのは、現場が元請だけになったことから店舗も不要だと受け取ってしまう場面です。立ち入り検査で見られるのは、むしろ店舗のほうです。
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あわせて、建設業の立ち入り検査で指摘続出!「帳簿の保存」と「標識の掲示」もご覧ください。
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