下請代金はいつ払う?元請は支払を受けてから1か月以内です
建設業法は、元請が注文者から支払を受けたら、その日から1か月以内に下請代金を払うよう求めています。特定建設業者が注文者になる下請契約では、引渡しの申出の日から50日以内という線も引かれています。
入金があってから支払日を考えていた、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の建設業者様からのご相談をもとに整理します。
この記事の結論
- 元請は、注文者から支払を受けた日から1か月以内に下請代金を支払います
- 特定建設業者が注文者となる下請契約は、引渡しの申出の日から50日以内です
- 支払期日を定めなかった場合は、申出の日が支払期日とみなされます
お急ぎの方は一度以下HPまたはLINEから、お気軽にお問い合わせください。
複雑な手続きは専門家にお任せください。初回相談は無料です。
元請は、支払を受けた日から1か月以内です
建設業法の下請代金の支払の規定を読みます。元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、その工事を施工した下請負人に対して、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならないとされています。
起点は「支払を受けたとき」です。工事が終わった日でも、請求書を受け取った日でもありません。自分のところに入金があった日から数えます。
金額の決め方も書かれています。元請が支払を受けた金額の出来形に対する割合と、その下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金、です。入金の一部だけが入った場合は、その割合で考える形になります。
そして「できる限り短い期間内に」という言葉が付いています。1か月の末日まで待ってよいという作りではありません。1か月は上限です。
特定建設業者が注文者なら、50日以内です
もう1本、別の線があります。特定建設業者が注文者となった下請契約についての規定です。
下請代金の支払期日は、引渡しの申出の日から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならないとされています。
こちらの起点は入金ではありません。下請負人が引渡しを申し出た日です。注文者からの入金を待つ形にはなっていません。
この申出がいつなのかは、別の条文につながります。元請は、下請負人から工事が完成した旨の通知を受けたときは、通知を受けた日から二十日以内で、かつできる限り短い期間内に検査を完了しなければなりません。
そして、検査で完成を確認した後、下請負人が申し出たときは直ちに引渡しを受けなければならないとされています。この申出の日が、50日を数える起点になります。
つまり、完成の通知から検査、引渡し、支払までが1本の流れで決められています。検査を延ばすと、全体が後ろにずれるのではなく期限だけが迫ってきます。
| 見るところ | 元請一般の規定 | 特定建設業者が注文者の場合 |
|---|---|---|
| 起点 | 注文者から支払を受けた日 | 引渡しの申出の日 |
| 期限 | 1か月以内で、できる限り短い期間内 | 50日を経過する日以前で、できる限り短い期間内 |
| 入金を待てるか | 入金が起点なので待つ形になります | 入金とは切り離されています |
| 定めなかったとき | 規定の期限で支払います | 申出の日が支払期日とみなされます |
表の最後の行が効きます。決めていないほうが期限が早くなるという形です。
支払期日を書かないと、申出の日になります
特定建設業者が注文者となった下請契約で、支払期日を定めなかったときの扱いが条文に書かれています。
この場合、申出の日が下請代金の支払期日と定められたものとみなすとされています。50日の規定に違反して定めたときは、申出の日から起算して50日を経過する日が支払期日とみなされます。
読み替えると、契約書に支払期日を書き忘れた場合、引渡しの申出があったその日が支払日になります。書かないほうが厳しくなるということです。
ですから、注文書や請書には支払期日を必ず書いてください。末日締めの翌月末払いのような社内の慣行があるときは、それが50日の線を越えないかを確かめてから書いてください。
手形についても制限があります。支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならないとされています。手形で払う運用をしているのであれば、ここは一度確認しておきたい部分です。
労務費は現金で、という配慮の規定もあります
支払の方法についても条文があります。元請負人は、下請代金のうち労務費に相当する部分については、現金で支払うよう適切な配慮をしなければならないとされています。
「配慮をしなければならない」という書き方なので、期限の規定とは強さが違います。ただ、労務費は下請の会社がそのまま人に払う部分です。ここを手形にすると、下請の資金繰りが直接きしみます。
もう1つ、前払金についての規定もあります。元請負人が前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならないとされています。
工事に入る前にかかるお金があることを、法律の側でも見ている形です。前払金を受け取ったのであれば、下請にも回す順番を考えてください。
下請代金の支払でよくある質問
注文者からの入金が遅れています。下請への支払も待てますか
元請一般の規定は入金が起点なので、入金がなければ1か月の数え始めも来ていません。ただし、特定建設業者が注文者となる下請契約では起点が引渡しの申出の日です。入金とは切り離されているため、入金待ちを理由に延ばせません。
月末締めの翌月末払いにしています。これで足りますか
締め日と支払日の組み合わせによって、引渡しの申出の日から何日になるかが変わります。50日の線を越える月が出てくる場合があるので、いちばん長くなる月で数えてみてください。
出来高で一部だけ入金がありました
条文は、支払を受けた金額の出来形に対する割合と、その下請が施工した出来形部分に相応する下請代金という書き方をしています。全額の入金を待つのではなく、入った分に応じて支払う形になります。
下請代金の支払をケースで確認
ご相談の形を3つ挙げます。
ケース1 元請として、下請に工事の一部を出した
注文者から入金があった日を記録してください。そこから1か月以内、かつできる限り短い期間内が支払の期限です。入金日を台帳に書く習慣をつけると、数え間違いが起きません。
ケース2 特定建設業者から工事を受けて、さらに下請に出した
自社が特定建設業者でない場合、自社が注文者となる下請契約には50日の規定は及びません。元請一般の規定で考えます。自社がどちらの立場かを先に確かめるのが出発点です。
ケース3 注文書に支払期日を書いていなかった
特定建設業者が注文者の場合、引渡しの申出の日が支払期日とみなされます。書いていないほうが早まる形です。注文書の様式に支払期日の欄を入れておくと、書き忘れが防げます。
注文書と請書に入れておきたい支払の項目
支払期日、支払の方法(現金か手形か、振込か)、出来高での支払があるかどうか、検査の時期、引渡しの時期です。この5つが書かれていれば、支払のタイミングで揉めることはほとんどありません。支払期日だけを書いて検査と引渡しの時期を書かないと、起点が決まらなくなります。
流山市の建設業の下請契約についてのご相談
当事務所では、下請契約の書類を整えるときに、支払期日と検査の時期を必ず確認しています。ここが抜けていると、期限の起点が決まらないためです。
流山市の建設業者様から、注文書の様式を見てほしいというご相談をいただいたことがあります。工事の内容と金額は書かれていましたが、支払期日の欄がありませんでした。
特定建設業者からの請負が多い会社でしたので、自社が注文者になる下請契約の形も含めて整理しました。様式に欄を1つ足すだけで、毎回の確認が要らなくなりました。
下請代金の支払でつまずかないためのワンポイントアドバイス
入金の日付を記録してください。元請一般の規定では、ここが起点です。通帳を見れば分かるのですが、あとから探すと手間になります。
そして、注文書の様式に支払期日の欄を入れてください。書き忘れると、かえって早い期日になる規定があります。
手形で払っている場合は、割引を受けられる手形になっているかを確かめてください。期限の話だけでなく、手形についての規定も置かれています。
下請代金の支払期日のまとめ
- 元請は、注文者から支払を受けた日から1か月以内に支払います
- いずれの規定にも「できる限り短い期間内に」が付いています
- 特定建設業者が注文者の場合は、引渡しの申出の日から50日以内です
- 支払期日を定めなかった場合は、申出の日が支払期日とみなされます
- 完成の通知を受けたら20日以内に検査を完了します
- 労務費に相当する部分は現金で支払うよう配慮します
自力で進めてつまずくのは、支払期日を書かないまま工事に入る場面です。書いていないほうが厳しい扱いになる規定があります。
行政書士むらた事務所では、流山市・柏市・松戸市を中心に(内容によってはオンラインで全国対応)、建設業許可の申請や変更の届出、下請契約の注文書・請書の整備をお引き受けしています。
労務や社会保険の手続きは社労士へ、税務は税理士へおつなぎします。
「うちの注文書で足りているか見てほしい」の状態で構いません。初回相談は無料です。当事務所へのご相談はHPまたは公式LINEから24時間受け付けております。
あわせて、【建設業法】労務費を削った見積りは出せません。令和7年12月から基準ができましたもご覧ください。
是非お気軽にご相談ください。
複雑な手続きは専門家にお任せください。初回相談は無料です。


