うちは小規模事業者に入る?資本金ではなく従業員の数で決まります
小規模事業者かどうかは、資本金では決まりません。見るのは常時使用する従業員の数だけです。資本金を増やしても、この区分からは外れません。
補助金の募集要項に「小規模事業者向け」と書いてあって、自社が入るのか分からない、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。
小規模事業者の結論
- 中小企業基本法の小規模企業者は、常時使用する従業員の数だけで決まります
- 製造業その他は20人以下、商業・サービス業は5人以下です
- 役員と個人事業主本人は、この従業員の数に入りません
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中小企業者と小規模企業者は別の区分です
まず、よく混ざる2つを分けておきます。中小企業者と小規模企業者は、どちらも中小企業基本法に定めがありますが、判定の仕方が違います。
中小企業者は、業種ごとに資本金と従業員数の基準があります。製造業その他なら資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業なら1億円以下または100人以下、小売業なら5千万円以下または50人以下、サービス業なら5千万円以下または100人以下です。
この2つは両方を満たす必要がありません。中小企業庁も、両方の基準を満たす必要はないと明記しています。資本金が大きくても従業員数で入る、という形もあり得ます。
一方で小規模企業者のほうは、資本金の基準がありません。常時使用する従業員の数だけで決まります。
数え方でつまずくのは、誰を入れるかです
従業員の数で決まるとなると、次に問題になるのが数え方です。中小企業庁は、常時使用する従業員を、労働基準法で解雇の予告が必要とされる人としています。
含まれない人として挙げられているのは、次のような立場の方です。
- 会社の役員
- 個人事業主本人
- 日々雇い入れられる人
- 2か月以内の期間を定めて使用される人
- 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される人
- 試みの使用期間中の人で、14日を超えていない人
逆に、パートやアルバイト、契約社員は、それだけで外れるわけではありません。労働基準法の基準に照らして、1人ずつ見ていくことになります。長く働いてもらっている方は、名前が何であれ入ると考えておくほうが安全です。
ここを都合よく数えると、あとで書類を出す段階で合わなくなります。給与の支払い記録や社会保険の加入状況と突き合わせると、実態に近い数字になります。
| 区分 | 見るもの | 基準 |
|---|---|---|
| 中小企業者 製造業その他 |
資本金 または 従業員数 (どちらか一方でよい) |
3億円以下 または 300人以下 |
| 中小企業者 卸売業 |
資本金 または 従業員数 | 1億円以下 または 100人以下 |
| 中小企業者 小売業 |
資本金 または 従業員数 | 5千万円以下 または 50人以下 |
| 中小企業者 サービス業 |
資本金 または 従業員数 | 5千万円以下 または 100人以下 |
| 小規模企業者 製造業その他 |
従業員数だけ | 20人以下 |
| 小規模企業者 商業・サービス業 |
従業員数だけ | 5人以下 |
人を増やす前に、使える補助金を確認します
小規模事業者向けの補助金は、この人数の枠に入っていることが入口になります。つまり、人を1人増やしたことで、翌年から対象外になるということが起こり得ます。
商業・サービス業の5人という線は、思っているより近いです。店舗でパートの方を数人雇っていれば、すぐに届きます。
採用を考えている段階なら、その前に使える補助金を確認して、先に申請しておくという順番もあります。補助金は年に何回か公募がありますので、採用の時期と公募の時期を並べて見てください。
もちろん、補助金のために採用を我慢するのは本末転倒です。順番を入れ替えるだけで両方取れることがある、という話として読んでいただければと思います。
補助金ごとに定義が違うことがあります
ここまでは中小企業基本法の定義です。ただ、実際の補助金では、その補助金ごとに対象者が定められています。基本法の定義をそのまま使っているものもあれば、業種の分け方や人数を独自に決めているものもあります。
ですので、実際に申請するときは必ずその補助金の公募要領で対象者を確認してください。同じ「小規模事業者」という言葉でも、中身が少し違うことがあります。
あわせて、法人か個人かで必要な書類も変わります。補助金の入口の要件については、補助金の入口は中小企業者かどうかです。資本金と従業員数はどちらかで足りますもご覧ください。なお、決算書や税務の取扱いは税理士へ、雇用に関する助成金の申請手続きは社労士へおつなぎします。
小規模事業者の判定でよくある質問
Q. 役員が5人いますが、小規模事業者に入りますか。
中小企業庁は、会社の役員は常時使用する従業員に含まれないとしています。ですので、役員の人数は判定の数字に入りません。ただし、役員でありながら従業員としての立場も持っている方は、実態で見ることになります。給与の出し方や就業の実態を確認してください。
Q. パートだけで6人います。対象から外れますか。
パートやアルバイトという呼び方だけで外れるわけではありません。労働基準法の解雇の予告が必要かどうかで、1人ずつ判断することになります。週に数時間だけ、短期間だけ、という方は含まれないこともありますので、契約の内容を並べて確認してください。
Q. 資本金を増やしたら、小規模事業者ではなくなりますか。
小規模企業者の定義には資本金の基準がありませんので、増資をしても区分は変わりません。変わるのは中小企業者かどうかの判定のほうです。ただ、補助金によっては大企業の出資割合を見るものもありますので、出資を受けるときは公募要領の確認が必要です。
小規模事業者の理解度クイズ
Q1. 小規模企業者の判定で見るものはどれでしょう。
A. 資本金と従業員数の両方
B. 常時使用する従業員の数だけ
C. 売上高
答えを見る
正解:B。資本金の基準はありません。
Q2. 商業・サービス業の小規模企業者の人数はどれでしょう。
A. 5人以下
B. 20人以下
C. 50人以下
答えを見る
正解:A。製造業その他は20人以下です。
Q3. 常時使用する従業員に含まれないのはどれでしょう。
A. 長く働いているパートの方
B. 会社の役員
C. 契約社員
答えを見る
正解:B。個人事業主本人も含まれません。
採用の直前にご相談をいただいた事例
流山市の飲食店の方から、補助金を使って店舗を改装したいというご相談をいただいたことがあります。うかがうと、翌月からパートの方を2人増やす予定とのことでした。
そのまま採用すると、常時使用する従業員の数が5人を超える見込みでした。公募の時期を確認したところ、採用の前に申請できるスケジュールが組めました。
採用そのものを止める必要はありませんでした。順番を確認しただけです。人数が動く予定があるときは、早めに数えてみてください。
数える前のワンポイントアドバイス
紙を1枚用意して、いま給与を払っている人を全員書き出してください。役員も、家族も、短期の方も、いったん全部です。
そのうえで、役員と事業主本人に印を付けて外します。残った人について、契約の期間と働き方を横に書きます。ここまでやると、自社の数字がはっきりします。
この一覧は、補助金の申請でも、許認可の手続きでも使えます。年に1回、決算のタイミングで作り直しておくと迷いません。
小規模事業者のまとめ
- 小規模企業者は、常時使用する従業員の数だけで決まります
- 製造業その他は20人以下、商業・サービス業は5人以下です
- 中小企業者のほうは、資本金と従業員数のどちらかを満たせば足ります
- 役員、個人事業主本人、日々雇い入れられる人などは人数に入りません
- パートやアルバイトは、呼び方ではなく契約の実態で判断します
- 実際の補助金では、その公募要領の対象者を必ず確認します
つまずくのは、資本金の額で自社の区分を考えてしまう場面です。小規模かどうかは、人数だけの話です。
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