建設業の丸投げは承諾があれば合法?公共工事と共同住宅の新築は例外なしです

発注者から書面の承諾をもらえば、丸投げは建設業法違反になりません。ただし、その例外が最初から使えない工事が2つあります。公共工事と、共同住宅を新築する工事です。

受けた工事をそのまま別の業者に任せたいが、承諾さえもらえば問題ないのか分からない、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。

一括下請負の結論

  • 請け負った工事を一括して他人に請け負わせることは、建設業法で禁止されています
  • あらかじめ発注者から書面で承諾を得たときは、この禁止が適用されません
  • 公共工事と、共同住宅を新築する工事は、承諾があっても禁止のままです

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代表 村田圭
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丸投げは、出す側だけでなく受ける側も違反になります

建設業法は、建設業者が請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするを問わず、一括して他人に請け負わせてはならないと定めています。これが一括下請負の禁止です。

見落とされやすいのが、その次の定めです。建設業を営む者が、建設業者から工事を一括して請け負うことも、あわせて禁止されています。

つまり、丸投げは出した側だけの問題ではありません。受けた側も同じ条文で禁止されているということです。「元請から言われて受けただけ」という説明は通りません。

もうひとつ、条文には「いかなる方法をもってするを問わず」という言葉が入っています。契約書の形を工夫しても、実態が丸投げであれば対象になります。

承諾の例外が使えるかどうかの判定 発注者の承諾という例外は使えますか 請け負った工事を一括して他社に任せたい 公共工事ですか はい → 例外は使えません 共同住宅の新築ですか はい → 例外は使えません どちらも「いいえ」なら、承諾の例外が使えます 一括下請負に付する前に、発注者から書面で承諾を受けます 実質的に関与していれば、そもそも一括下請負になりません 出典:国土交通省 一括下請負の禁止について

承諾があっても使えない工事が2つあります

禁止には例外があります。元請負人があらかじめ発注者から書面による承諾を得ているときは、この禁止が適用されません。

ただし、条文はこの例外の対象から、多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものを外しています。政令で定められているのは、共同住宅を新築する建設工事です。アパートやマンションの新築が、これにあたります。

もうひとつが公共工事です。国土交通省は、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の適用対象となる公共工事について、この例外の規定は適用されず、全面的に禁止されていますとしています。

発注者が役所であれば、承諾を求めること自体に意味がありません。承諾をもらえるかどうかを相談する前に、その工事が例外を使える工事かどうかを確認するのが先です。

承諾を受ける時期についても定めがあります。国土交通省は、発注者の承諾は、一括下請負に付する以前に書面により受けなければならないとしています。あとから書面をそろえる形は認められません。

工事の種類 承諾の例外 実務での動き方
公共工事 使えません 自社で施工体制を組みます
共同住宅の新築 使えません 民間の発注でも同じ扱いです
共同住宅の改修・修繕 使えます 新築かどうかで分かれます
戸建住宅の新築 使えます 着手前に書面で承諾を得ます
民間の工場・店舗 使えます 着手前に書面で承諾を得ます

そもそも一括下請負にならない場合があります

ここまでは例外の話ですが、そもそも一括下請負にあたらないという道もあります。国土交通省は、元請負人が実質的に関与していれば一括下請負にはあたらないという考え方を示しています。

元請負人について、実質的に関与しているといえるために求められている行為は、次のようなものです。

  • 施工計画書等の作成、下請負人の作成した施工要領書等の確認、設計変更等に応じた修正
  • 請け負った建設工事全体の進捗確認、下請負人間の工程調整
  • 建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認
  • 安全確保のための協議組織の設置及び運営、作業場所の巡視
  • 主任技術者の配置等の法令遵守や職務遂行の確認
  • 発注者等との協議・調整、下請負人からの協議事項への判断・対応

並べてみると分かるとおり、現場に人を出しているかどうかの話ではありません。計画を作り、工程を調整し、報告を受けて判断する。この役割を自社が担っているかどうかが見られます。

逆に言えば、これらを全部やらずに名前だけ通しているなら、承諾の有無にかかわらず一括下請負になり得るということです。

下請が再下請に出すときも基準は同じです

下請負人が、さらに下の業者に工事を出す場面でも同じ考え方が使われます。下請負人について求められている行為は、次のようなものです。

  • 請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成、確認、修正
  • 請け負った範囲の建設工事に関する進捗確認
  • 請け負った範囲の建設工事に関する立会確認、元請負人への施工報告
  • 協議組織への参加、現場巡回への協力
  • 請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等の法令遵守
  • 自らが受注した建設工事の請負契約の注文者との協議

さらに厳しくなる場面があります。請け負った工事と同一の種類の工事について、単一の業者と下請契約を結ぶ場合です。この場合は、現場作業に係る実地の技術指導、注文者との協議、下請負人からの協議事項への判断・対応のすべてを行うことが求められます。

同じ業種の1社にそのまま出す形は、外から見て丸投げと区別がつきにくいためです。ここに入るときは、指導と協議の記録を残しておいてください。

なお、元請と下請の関係については、国土交通省が建設業法令遵守ガイドラインを出しています。令和8年1月に第12版が公表されていますので、社内のルールを作るときはこちらを見てください。契約書の税務の取扱いは税理士へ、現場の労務管理や社会保険の手続きは社労士へおつなぎします。

請け負える工事の範囲については、附帯工事なら許可のない業種も請け負える?500万円以上は技術者が要りますもあわせてご覧ください。

一括下請負でよくある質問

Q. 発注者から口頭で「任せる」と言われました。これで承諾になりますか。

なりません。建設業法が求めているのは書面による承諾です。国土交通省も、一括下請負に付する以前に書面で受けなければならないとしています。工事が始まってから書面をそろえる形も認められませんので、着手前に取り交わしてください。

Q. マンションの大規模修繕なら、承諾をもらえば任せられますか。

例外の対象から外れているのは、共同住宅を新築する建設工事です。改修や修繕の工事は新築にあたりませんので、承諾の例外を使う余地があります。ただし新築か改修かの線引きが微妙な工事もありますので、契約前に工事の内容で確認してください。

Q. 自社の職員を現場に1人常駐させていれば、丸投げにはなりませんか。

人を置いているかどうかではなく、施工計画の作成や工程調整、施工報告の確認といった役割を実際に担っているかで見られます。常駐していても、下請の判断をそのまま通しているだけであれば足りません。誰が何を決めたかが分かる記録を残してください。

一括下請負の理解度クイズ

Q1. 発注者の書面による承諾があっても一括下請負が禁止される工事はどれでしょう。

A. 戸建住宅の新築

B. 共同住宅の新築

C. 店舗の内装

答えを見る

正解:B。公共工事も例外が使えません。

Q2. 一括下請負の禁止について正しいのはどれでしょう。

A. 工事を出した側だけが違反になる

B. 受けた側も禁止されている

C. 契約書を分ければ対象外になる

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正解:B。いかなる方法をもってするを問わず禁止されています。

Q3. 発注者の承諾はいつ受ける必要があるでしょう。

A. 一括下請負に付する以前

B. 工事が始まってから

C. 完成検査の前まで

答えを見る

正解:A。あとから書面をそろえる形は認められません。

共同住宅の新築で契約を組み直した事例

柏市の工務店の方から、受注したアパートの新築工事について、付き合いのある業者にまとめて任せたいというご相談をいただいたことがあります。発注者からは了解を得ているとのことでした。

ただ、共同住宅の新築は承諾の例外が使えません。そのまま進めると、出した側も受けた側も一括下請負になる見込みでした。

そこで、工事を専門工事ごとに分けて契約し、工程の調整と施工報告の確認は自社で行う形に組み直しました。結果として、任せる範囲はほとんど変わりませんでした。変えたのは契約の分け方と、誰が判断するかを決めたところだけです。

契約を分ける前のワンポイントアドバイス

紙を1枚用意して、その工事で誰が何を決めているかを書き出してみてください。工程を組んだのは誰か、材料を選んだのは誰か、発注者からの変更に答えたのは誰か。

書き出したときに、自社の名前がほとんど出てこないなら危ないと考えてください。契約書の形ではなく、この中身で判断されます。

逆に、自社が判断している場面があるのに記録が残っていないだけ、ということもよくあります。打ち合わせの議事録や施工報告の確認の履歴を残しておくと、あとで説明ができます。

一括下請負のまとめ

  • 請け負った工事を一括して他人に請け負わせることは禁止されています
  • 建設業者から一括して請け負うことも、あわせて禁止されています
  • あらかじめ発注者から書面で承諾を得たときは、この禁止が適用されません
  • 公共工事と共同住宅を新築する工事は、承諾があっても禁止のままです
  • 承諾は、一括下請負に付する以前に書面で受ける必要があります
  • 実質的に関与していれば、そもそも一括下請負にはあたりません

つまずくのは、承諾さえあれば何でも任せられると考えてしまう場面です。工事の種類によっては、その入口自体が閉じています。

行政書士むらた事務所では、流山市・柏市・松戸市を中心に(内容によってはオンラインで全国対応)、建設業許可の申請と、下請契約の書面の整備をお引き受けしています。

契約に関する税務の取扱いは税理士へ、現場の労務管理や社会保険の手続きは社労士へ、紛争になったものは弁護士へおつなぎします。

「この分け方で大丈夫か」の段階で構いません。初回相談は無料です。当事務所へのご相談はHPまたは公式LINEから24時間受け付けております。

是非お気軽にご相談ください。

代表 村田圭
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