自動車商でも解体はできません。部品を売るなら2つの法律を見ます
古物商許可は、売買のための許可です。車をバラすための許可ではありません。
今回の記事は自動車商の古物商許可についてになります。仕入れた車をバラして部品で売りたい、といったことはありませんでしょうか。許可が1つでは足りない場面があります。流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。
自動車商と解体の結論
- 部品を仕入れて売るだけなら、古物商許可の範囲で考えられます
- 使用済自動車を解体するには、自動車リサイクル法の許可が必要です
- 千葉県警はヤードを見ています。無許可営業と名義貸しが指摘されています
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古物商許可でできるのは、売買までです
自動車を扱う古物商のことを、実務では自動車商と呼びます。中古車を仕入れて売る商売です。
千葉県警察がヤードの経営者向けに出している資料では、解体業者から部品等を有償で入手し、業として他人に売買等する場合に古物営業法の許可が必要とされています。
つまり、部品を買って売るところまでは古物商の話です。バンパーやドア、エンジンを仕入れて販売する形であれば、この範囲で考えられます。
問題は、そこから一歩進んだときです。自分で車をバラすと、扱う法律が変わります。
やることで分かれます
中古車を仕入れて売る → 古物商許可
部品を仕入れて売る → 古物商許可
使用済自動車を解体する → 自動車リサイクル法の許可
解体して部品を売るなら、両方の話になります。
解体には自動車リサイクル法の許可が要ります
千葉県警の同じ資料に、はっきり書かれています。使用済自動車の解体については、自動車リサイクル法の許可が必要です。
古物商許可を持っているから大丈夫、という理屈は通りません。古物営業法は売買を、自動車リサイクル法は解体を見ている法律で、役割が別です。
ここを踏み外すと無許可営業になります。県警の資料でも、遵守事項の1つ目に無許可営業の禁止が挙げられています。
営業所の場所についても別の論点があります。自宅の駐車場ではダメ?中古車ビジネスの古物商許可で警察に突き返されないためのルールで書いたとおり、置き場所の話は最初に詰めておいてください。
千葉県では、ヤードが見られています
千葉県警がヤードの経営者向けに資料を出しているのは、県内で実際に問題になっているからです。挙げられている遵守事項は4つです。無許可営業の禁止、名義貸しの禁止、標識の掲示義務、帳簿等への記載義務。
とくに名義貸しは、頼まれて断りきれないまま巻き込まれる形が多い部分です。許可は貸すものではありません。
帳簿については、古物営業法で売買もしくは交換のため古物を受け取り、または引き渡した時は、その都度、取引年月日等を帳簿等に記載することとされています。あとでまとめて書く運用は想定されていません。
| 遵守事項 | つまずきやすい場面 |
|---|---|
| 無許可営業の禁止 | 古物商許可だけで解体を始めてしまう |
| 名義貸しの禁止 | 知人に許可証を使わせる |
| 標識の掲示義務 | ヤードに掲げていない |
| 帳簿等への記載義務 | 取引の都度ではなく、後でまとめて書く |
始める前に、どちらをやるのか決めます
仕入れて売るだけなら古物商許可の話で済みます。解体する予定があるなら、先に自動車リサイクル法の許可を調べてください。許可の窓口も、求められる設備も別です。
「とりあえず古物商を取って、様子を見ながら解体も」という進め方が、いちばん危ない形になります。
なお、解体業の許可は都道府県の環境部門が所管です。産業廃棄物の扱いが絡む場合もありますので、設備の話まで含めてご相談ください。
許可が要るのは、どんな作業でしょうか
千葉県が出している解体業の手引きでは、許可が必要な行為が挙げられています。エアバッグ類の回収、鉛蓄電池、タイヤ、廃油、廃液、蛍光灯といった特定の危険物の回収、そして有用な部品の回収です。
3つ目に注目してください。使える部品を外して回収する作業も、解体業の側に入っています。バラすという言葉から重機で潰す光景を思い浮かべがちですが、そこだけの話ではありません。
逆にいえば、仕入れた中古車をそのまま販売する、あるいは他社が外した部品を買って売る、という形なら古物商許可の範囲で考えられます。境目は、使用済自動車に自分で手を入れるかどうかです。
ヤードを借りれば始められる、わけではありません
手引きでは、施設の基準が3つに分けて示されています。
保管設備には、囲い、床面の防止措置、廃油の漏出を防ぐ対策が求められます。解体施設には、燃料の抜取場所、解体作業場、部品の保管設備が要ります。さらに、解体したあとに残る廃車ガラの保管施設も必要とされています。
この基準があるため、古物商許可の営業所として使っているヤードが、そのまま解体業の施設になるとは限りません。同じ土地でも、求められる設備が変わります。
窓口も、かかる費用も別です
古物商許可は、主たる営業所等の所在地を管轄する警察署の生活安全課へ申請します。千葉県警の資料によれば、手数料は19,000円です。
解体業の許可は行き先が違います。千葉県のページでは環境生活部ヤード・残土対策課が窓口とされ、千葉市、船橋市、柏市の区域内は各市役所が担当するとされています。手数料は78,000円、更新の申請は70,000円です。
手続きの入口も違います。解体業のほうは事業概要書を出して事前に協議するところから始まり、そのあとに許可申請書、施設の図面、事業計画書、財務書類を提出する流れになります。許可を受けたあとは自動車リサイクルシステムへの登録が必要で、更新は許可を受けてから5年以内に申請するとされています。
柏市に置くのか、流山市や松戸市に置くのかで窓口が変わります。土地を決める前に、どちらに出すのかを確かめてください。
自動車商と解体でよくある質問
Q. 事故車を買って、使える部品だけ外して売るのは解体になりますか。
使用済自動車を解体する行為に当たるかで判断が変わります。動く車から部品を1つ外すのか、車体そのものを分解するのかで見方が違います。線引きが微妙ですので、やろうとしている作業を具体的にして県の担当部門に確認するのが安全です。判断を先に取れば設備投資の無駄も防げます。
Q. 解体は外部の業者に出します。古物商許可だけで足りますか。
自社で解体しないなら、解体業の許可を自社で取る必要はありません。ただし、どこに出したかの記録は残してください。県警の資料でも、解体業者から部品を入手して売る場合は古物営業法の対象とされています。仕入先が正規の許可業者かも確認しておくと安心です。
Q. ヤードを借りているだけで、登記はしていません。標識は要りますか。
標識の掲示義務は、登記の有無ではなく営業所として届け出ているかで考えます。県警が遵守事項に挙げている項目ですので、営業所にしている場所には掲げてください。借りた場所を営業所にできるかは別の論点で、賃貸借契約の内容とあわせて確認が必要です。
Q. 古物商許可と解体業の許可では、費用も手間も違いますか。
手数料だけを見ても、古物商許可が19,000円、解体業の許可が78,000円です。窓口も警察署と千葉県(柏市などは市役所)に分かれます。解体業のほうは事業概要書を出して事前に協議するところから始まり、施設の基準も満たす必要があります。準備にかかる期間が大きく変わりますので、やるかやらないかは事業計画の段階で決めておいてください。
Q. 使える部品だけ外すなら、施設の基準は関係ありませんか。
手引きでは有用な部品の回収も許可が必要な行為に挙げられていますので、施設の基準の話も一緒についてきます。部品を外す作業をするなら、解体作業場や部品の保管設備が求められる前提で考えてください。作業の規模ではなく、何をするかで見られます。
古物商・解体の理解度クイズ
Q1. 使用済自動車を解体するには何の許可が必要でしょう。
A. 自動車リサイクル法の許可
B. 古物商許可だけ
C. 建設業の解体工事業登録
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正解:A。古物商許可だけでは足りません。
Q2. 古物台帳への記載はいつするでしょう。
A. 受け取り、引き渡したその都度
B. 月末にまとめて
C. 年に1回
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正解:A。都度の記載とされています。
Q3. 県警の資料で遵守事項に挙げられていないものはどれでしょう。
A. 従業員の人数制限
B. 名義貸しの禁止
C. 標識の掲示義務
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正解:A。人数の制限はありません。
部品売りを考えていた方の事例
松戸市の方から、中古車の販売を始めたいというご相談をいただいたことがあります。うかがうと、売れない車はバラして部品で売る構想がありました。古物商許可だけでは足りませんので、解体をやるかを先に決めていただきました。
事業計画を書く前のワンポイントアドバイス
事業計画を書く前に、解体をやるかやらないかを紙に書いてください。やらないなら古物商許可の話で進みます。やるなら、許可の窓口も設備の要件も別に調べる必要があり、準備の期間が変わります。あとから足すより、最初に分けたほうが早く済みます。
自動車商と解体許可のまとめ
- 部品を仕入れて売るだけなら、古物商許可の範囲で考えられます
- 使用済自動車を解体するなら、自動車リサイクル法の許可が必要です
- 県警の遵守事項は無許可営業、名義貸し、標識、帳簿の4つです
- 古物台帳は取引の都度、記載することとされています
つまずくのは、古物商許可を万能だと思ってしまう場面です。やる作業ごとに法律が変わります。
行政書士むらた事務所では、流山市・柏市・松戸市を中心に(内容によってはオンラインで全国対応)、古物商許可の申請と営業所の要件確認をお引き受けしています。
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