建設業の下請けいじめに注意!不当な代金減額を防ぐ「建設業法」と「下請法」の違い
こんにちは。
千葉県流山市の行政書士むらた事務所です。
今回の記事は建設業界における不当な減額等の下請けいじめリスクについてになります。
元請けとして「安全協力費や振込手数料を下請代金から相殺している」、あるいは下請けとして「理由なく代金を引かれている」といったことはありませんでしょうか。
今回は、建設業法や下請法に違反しないための正しい知識と対策を解説します。
【この記事の結論(3つのポイント)】
・「建設工事の請負」には建設業法が、「資材の製造委託等」には下請法が適用されます
・合意のない「赤伝処理(安全協力費などの相殺)」は不当な減額として違法になります
・下請法では、たとえ下請けの同意があっても不当な減額は原則として禁止されています
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建設業に「下請法」は適用されないという誤解
建設業に携わる多くの方が、「うちは建設業だから、下請法ではなく建設業法だけを守っていればいい」と誤解しています。
しかし、取引の内容によっては、建設業許可業者であっても「下請法」が適用されるケースがあります。
以下の表で、適用される法律の違いを視覚的に整理してみましょう。
| 取引の内容 | 適用される法律 | 具体例 |
| 建設工事の請負 | 建設業法 | 建物そのものの建築工事、内装工事、足場組立工事など |
| 物品の製造委託 | 下請法 | 特注の建具・家具の製作、特注サイズの鉄骨加工の依頼など |
| 情報成果物の作成委託 | 下請法 | 建築設計図面の作成、施工図面のトレース外注など |
このように、「現場での工事」そのものを外注する場合は建設業法が適用されますが、「工場で作る資材」や「図面」を外注する場合は、資本金の条件を満たせば下請法の対象となります。
下請法は建設業法よりも禁止規定が厳格なため、「知らずに下請法違反を犯していた」という事態を避けるための注意が必要です。
「赤伝処理」にご用心!不当な減額の落とし穴
建設業界で昔から慣習として行われがちなのが、請求額から安全協力費、駐車場代、ごみ処理代などを差し引いて支払う赤伝処理(相殺処理)です。
しかし、事前の明確な取り決めや根拠(エビデンス)がないまま、元請けが一方的に代金を差し引くことは、建設業法上の「不当に低い請負代金の禁止」や、下請法上の「下請代金の減額の禁止」に抵触する重大なコンプライアンス違反です。
ここで特に注意すべきなのは、下請法が適用される取引の場合、たとえ下請業者との間に「合意」があったとしても不当な減額は違法になるという点です。
「なぜ合意しているのに違法なのか?」と疑問に思うかもしれませんが、元請けと下請けには明確な力関係の差があり、「今後の取引のために、泣く泣く減額に同意させられている」ケースが構造上生じやすいからです。
そのため、名目がいかなるものであろうと、下請けに責任のない事後的な減額は厳しく罰せられます。
曖昧な口約束が引き起こした減額トラブル
私が以前、企業のコンプライアンス整備に関わっていた際、ある中堅ゼネコンでトラブルが発生しました。
元請けの担当者が「今回は予算が厳しいから、次回の現場で上乗せする。とりあえず今回の請求は10%カットさせてほしい」と口頭で伝え、下請けも渋々それに従っていました。
しかし、数ヶ月後に担当者が異動となり、「次回の現場での上乗せ」という約束は反故にされてしまったのです。
結果として、下請け側が行政の相談窓口に相談に行き、元請けは行政指導を受けることになりました。
曖昧な口約束や「どんぶり勘定」は、最終的に双方の信頼と会社の存続を脅かすということを痛感した事例です。
ワンポイントアドバイス
元請業者として不当な減額(下請けいじめ)を疑われないためには、事前の書面化(契約書の整備)がすべてです。
安全協力費や振込手数料を引くのであれば、契約締結の段階で「どのような計算式で、いくらを引くのか」を契約書や注文書に明記し、双方が納得した上でハンコを押すプロセスが欠かせません。
逆に下請業者の方は、見積もりの段階で不自然な値引きを要求された場合、それが「建設業法」や「下請法」に抵触しないかを毅然と確認する姿勢を持つことが、自社の利益を守る盾となります。
疑問を解決するQ&A
Q1.元請けの指示ミスによるやり直し工事の費用はどうなりますか?
元請けの指示ミス(図面の間違いなど)によるやり直し工事の場合、その費用を下請けに負担させることは「不当なやり直しの強要」や「不当な減額」となり、明確な法律違反です。
追加費用は元請けが負担しなければなりません。
Q2.下請法における「親事業者」と「下請事業者」の基準は?
下請法が適用されるかは、双方の資本金の額によって決まります。
例えば「資本金3億円超の会社」が「資本金3億円以下の会社」に製造委託等を行う場合などに適用されます。
資本金要件を満たさない場合は下請法は適用されませんが、建設業法の規制は受けます。
Q3.支払いの遅延はいつから法律違反になりますか?
下請法では、物品等を受領した日から「60日以内」のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その日までに支払う義務があります。
建設業法においても、下請けから工事完成の申し出があった日から「50日以内」に支払う義務があり、これを過ぎると違法となります。
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