代金が払われないとき契約は切れますか?まず催告するのが原則です
代金が入らないからといって、その場で契約を終わらせることはできません。民法は、まず期間を決めて催告することを原則にしています。
何度も催促しているのに払ってもらえず、取引をやめたい、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の事業者様からのご相談をもとに整理します。
この記事の結論
- 原則は、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ解除できます
- 期間を過ぎた時点での不履行が軽微なときは、解除できません
- 履行が不能なときや、相手が明確に拒んだときは、催告なしで直ちに解除できます
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原則は、期間を決めて催告することです
民法541条は、こう書いています。当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
読むべきところが2つあります。期間を定めることと、その期間が過ぎることです。
「早く払ってください」という連絡を何度しても、期間が書かれていなければ、この催告にはなりません。電話で急かすのも同じです。
そして、期間が過ぎるまでは解除できません。催告した日に解除の通知も一緒に送る、という形だと順番が崩れます。
では「相当の期間」は何日か。民法に日数は書かれていません。取引の内容や金額によって変わるので、実務では1週間から2週間程度を置くことが多いところです。短すぎると相当の期間と言えなくなります。
「軽微なとき」は解除できません
541条には、ただし書きが付いています。期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、解除できません。
ここが実務でいちばん揉めるところです。催告の期間を過ぎても、残っている不履行が軽いものなら解除が認められません。
たとえば、代金の大部分が払われていて端数だけが残っている場合です。契約の目的はほぼ達せられているので、解除までは通らない可能性があります。
判断は契約の中身によります。金額の割合だけで決まるものではないので、何割なら軽微という線引きはできません。迷う場面では弁護士へおつなぎしています。
逆に言えば、解除したいならどこがどれだけ履行されていないかを記録しておくことが効きます。催告の時点で残額と未履行の内容を書き出しておくと、後から説明できます。
| 場面 | 催告 | 根拠 |
|---|---|---|
| 代金の支払いが遅れている | 必要 | 民法541条 |
| 納品物が焼失して引き渡せない | 不要 | 民法542条1項1号 |
| 相手が「払わない」と明確に伝えてきた | 不要 | 民法542条1項2号 |
| 期日までにやらないと意味がない仕事で、その日が過ぎた | 不要 | 民法542条1項4号 |
| 催告しても目的を達する履行の見込みがないことが明らか | 不要 | 民法542条1項5号 |
催告なしで切れる場面は、5つ並んでいます
民法542条1項は、催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができる場合を並べています。
1号が債務の全部の履行が不能であるとき。2号が債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときです。
2号で押さえておきたいのは「明確に表示した」という条件です。連絡が取れないだけでは、拒絶を明確に表示したことになりません。無視と拒絶は別です。
3号は一部の履行が不能または一部の拒絶があり、残っている部分だけでは契約の目的を達することができないときです。4号は、特定の日時や一定の期間内に履行しなければ目的を達することができない場合に、その時期を過ぎたときです。
そして5号が、催告をしても目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるときです。ここは判断が難しいので、使う前に専門家に相談してください。
なお、2項では一部の解除についても同じ考え方が置かれています。全部を切らずに、できていない部分だけを解除する道もあります。
やることは、順番で決まっています
実務の手順に落とすと、こうなります。まず、相手の状態がどちらなのかを決めます。遅れているだけなのか、履行が不能なのか、明確に拒んでいるのか。
遅れているだけなら、催告です。期限の日付を書いた書面を出します。「○月○日までにお支払いください」という形です。内容証明郵便にすると、出したことと中身が記録に残ります。
その日が過ぎてから、解除の通知を出します。催告と解除を1通にまとめる書き方もありますが、順番の説明が難しくなるので、分けて出すほうが安全です。
当事務所では、催告書と解除通知書の作成をお引き受けしています。相手と争う段階に入った案件は弁護士の業務なので、交渉や訴訟はお引き受けできません。税務は税理士へ、登記は司法書士へおつなぎします。
契約の解除でよくある質問
契約書に「直ちに解除できる」と書いてあります
契約書で解除の条件を定めることはできるので、書いてあること自体は有効です。ただし、民法の原則と離れた内容だと、相手から争われたときに揉めます。契約書の条項があるときも、催告書を出しておくと手続きの流れが説明しやすくなります。条項の書き方そのものに不安があれば、作り直しのご相談も受けています。
催告は口頭でもよいのですか
法律は方法を限定していないので、口頭でも催告自体は成り立ちます。ただ、あとで「言われていない」と言われると立証できません。期間を定めたことと、その期間がいつまでかを記録に残す意味で、書面にしてください。メールでも記録は残りますが、相手が受け取ったことまで示したい場合は内容証明郵便です。
解除したら、代金はもう請求できませんか
解除と損害の請求は別の話です。解除しても、それによって生じた損害の賠償を求めることは否定されていません。ただし、何がいくら請求できるかは個別の判断になるため、金額の見込みは弁護士に確認してください。こちらで金額の見通しをお伝えすることはできません。
契約の解除をケースで確認
自分の案件に置き換えて読んでみてください。答えは隠してあります。
ケース1 流山市の内装業です。取引先への請求が2か月遅れています。電話では「もう少し待ってほしい」と言われています。契約を切りたい場合、最初にすることは何でしょうか。
ア 解除の通知を内容証明郵便で送る
イ 支払期限の日付を書いた催告書を送り、その期間が過ぎるのを待つ
ウ 相手が待ってほしいと言っているので、履行の拒絶にあたる。直ちに解除できる
答えと解説を開く
答え:イ
民法541条は、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がないときに解除できるとしています。遅れているだけの状態なので、まず期間を定めた催告です。
アは順番が逆です。催告をしていない解除は、効力を争われます。ウは「待ってほしい」を拒絶と読んでいますが、542条1項2号は拒絶の意思を明確に表示したときです。待ってほしいは、払う意思がある表明に近いので、ここには当たりません。
ケース2 柏市の飲食店です。開店日に合わせて厨房設備を頼みましたが、開店日を過ぎても納品されません。開店日は契約書に明記してあり、その日に間に合わなければ意味のない仕事でした。どうなるでしょうか。
ア 催告が必要。期間を定めて納品を求めてから解除する
イ 催告なしで直ちに解除できる
ウ 開店日を過ぎた時点で契約は自動的に終わっている
答えと解説を開く
答え:イ
民法542条1項4号は、契約の性質または当事者の意思表示により、特定の日時や一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合に、債務者が履行をしないでその時期を経過したときを挙げています。開店日が契約書に書かれていたことが効きます。
アは原則どおりの手順ですが、この場面では催告が要りません。ウは自動的に終わると考えています。解除は意思表示をして初めて効果が出ます。何もしないと契約は残ったままです。
ケース3 松戸市の製造業です。100万円の請求のうち、98万円は入金されました。残りの2万円が3か月遅れています。催告の期間も過ぎました。解除できるでしょうか。
ア できる。催告して期間が過ぎたのだから要件はそろっている
イ 認められない可能性がある。残っている不履行が軽微と判断される場合がある
ウ 金額の大小は関係しないので、必ず解除できる
答えと解説を開く
答え:イ
541条のただし書きが、期間を経過した時における不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは解除できないとしています。大部分が履行されている場面では、ここに当たる可能性があります。
アとウは、ただし書きを読み飛ばしています。催告と期間の経過は必要な条件ですが、それだけで解除が通るわけではありません。なお、軽微かどうかは金額の割合だけで決まるものではないので、2万円だから軽微と言い切ることもできません。判断が必要な場面は弁護士へご相談ください。
流山市の事業者様からのご相談
流山市の事業者様から、取引先に支払いを催促しているが止まらないというご相談をいただいたことがあります。メールで何度も連絡しておられた案件でした。
やり取りを見せていただくと、どのメールにも期限の日付が入っていませんでした。「お支払いをお願いします」「ご確認ください」という文面です。これでは催告になりません。
期限の日付を入れた催告書を作り、内容証明郵便で送りました。その期間内に一部の入金があり、残りについても分割の話し合いになっています。
結果として解除はしていません。期限を書いた1通が、それまでの何通よりも動かしたという案件でした。
催告でつまずかないためのワンポイントアドバイス
催告書に必ず入れるのは3つです。いくら、いつまでに、払われない場合は解除する。この3つがそろっていれば形になります。
とくに2つめです。「速やかに」「至急」では期間を定めたことになりません。年月日で書いてください。
そして、送った記録を残してください。内容証明郵便なら、出した日と中身が記録に残ります。あとで順番を説明するときに、ここが土台になります。
あわせて、契約書の解除や更新の条項も読み直してください。自動更新の期限と催告の期限が重なると、手順が複雑になります。
契約の解除のまとめ
- 原則は、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ解除できます
- 催告書には、いくら、いつまでに、払われない場合は解除する、の3つを書きます
- 期間を過ぎた時点の不履行が軽微なときは、解除できません
- 履行が不能なとき、拒絶を明確に表示されたときは、催告なしで直ちに解除できます
- 連絡が取れないだけでは、拒絶を明確に表示したことになりません
自力で進めてつまずくのは、催促のメールを催告だと思ってしまう場面です。期限の日付がない文面は、何通送っても手続きが進みません。
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是非お気軽にご相談ください。
複雑な手続きは専門家にお任せください。初回相談は無料です。


