業務委託契約書に印紙は要りますか?表題ではなく中身で決まります
契約書に印紙が要るかどうかは、表題では決まりません。中に何が書いてあるかで決まります。
同じ「業務委託契約書」という表題なのに、印紙を貼る契約と貼らない契約がある、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。
この記事の結論
- 国税庁は、文書の名称や形式ではなく記載されている文言の実質的な意味で判断するとしています
- 仕事の完成を約束する内容なら請負に関する契約書に当たり、金額に応じた印紙が要ります
- 継続する取引の基本を決めた契約書は、別の区分で1通につき4,000円になることがあります
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表題で決まらない理由
国税庁は、課税文書に当たるかどうかの判断について、文書に記載されている内容に基づいて判断しますと示しています。さらに、その文書の名称、呼称や形式的な記載文言によるのではなく、その文書に記載されている文言などの実質的な意味を汲み取って行いますと続きます。
つまり「業務委託契約書」という表題は、判断の材料になりません。中身を読んで、どの区分に当たるかを見ます。
課税文書になる条件も示されています。別表に掲げられた20種類の文書により証されるべき事項が書かれていること、当事者の間でそれを証明する目的で作られたこと、非課税文書でないこと。この3つがそろって課税文書です。
仕事の完成を約束しているか
業務委託と呼ばれる契約は、中身を見ると大きく2つに分かれます。仕事の完成を約束しているものと、事務の処理を任せているだけのものです。
国税庁は請負を、当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約と説明しています。建設工事のような形のあるものだけでなく、警備や機械保守のような役務の提供も請負に含まれます。
ホームページを納品する、設計図を仕上げる、機械を保守する。こうした「できあがり」を約束する契約は請負の側です。一方、継続して相談に乗る、事務を代わりに行う、といった完成を約束しない契約は請負に当たりません。
請負に当たる場合の印紙は、契約金額の区分で決まります。1万円未満は非課税、100万円以下は200円、というように段階的に上がります。金額の記載がないものは200円です。
継続する取引なら、もう1つの区分を見る
請負に当たらない場合でも、そこで終わりではありません。継続的取引の基本となる契約書という区分があり、こちらに当たると1通につき4,000円です。
国税庁の説明では、営業者の間で、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法、再販売価格のうち1つ以上を定める契約書が対象とされています。
そのうえで除外があります。その契約書に記載された契約期間が3か月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。ここが実務でいちばん効く線引きです。
| 契約書に書いてあること | 4,000円の区分に入るか |
|---|---|
| 期間1年、自動更新あり、月額を定めている | 入る可能性が高い |
| 期間3か月、更新の定めなし | 除かれる |
| 期間3か月だが、更新の定めがある | 除外に当たらない |
| 期間の定めがない | 3か月以内とはいえないため、除外に当たらない |
工事の請負については、金額に関係なく書面が義務とされています。こちらにまとめています。工事の契約書はいらない?金額に関係なく書面が義務とされています
税額の判定や納付そのものの相談は税理士と税務署、労務・社会保険・助成金の申請手続きは社労士、紛争は弁護士、登記は司法書士が窓口になります。個別の文書がどの区分に当たるかは、作成前に税務署で確認してください。
よくある質問
Q. 印紙を貼り忘れると、契約は無効になりますか。
契約の効力と印紙税は別の話で、貼り忘れても契約そのものは有効です。ただし納めるべき税を納めていない状態になるため、あとから指摘を受けることがあります。気づいた時点で、作成した文書の区分と額を確認して対応してください。
Q. 金額を書かない契約書にすれば、印紙は安くなりますか。
請負の契約書で金額の記載がないものは200円とされています。ただし、個別の注文書や発注書で金額を決める形にすると、そちらの文書が課税対象になることがあります。契約書だけを見て判断せず、やり取りする書類全体で考えてください。
Q. 契約期間を2か月にして、終わるたびに結び直すのはどうですか。
更新の定めを置かず、期間が3か月以内であれば、継続的取引の区分からは除かれます。ただし結び直すたびに新しい契約書を作るので、その都度それぞれの区分を見ることになります。手間と税額を並べて、どちらが実態に合うかで決めてください。
ケースで確認
自分の契約書に置き換えて読んでみてください。答えは隠してあります。
ケース1 流山市のデザイン事務所です。「業務委託契約書」という表題で、ロゴ3点を納品し、検収後に報酬を支払う、という内容にしました。金額は60万円です。
ア 表題が業務委託なので、請負の区分には当たらない
イ 納品と検収を約束しているので、請負の区分で見る
ウ 金額が100万円以下なので、どの区分でも印紙は要らない
答えと解説を開く
答え:イ
成果物を納めて検収を受ける形は、仕事の完成を約束しています。表題が業務委託でも、中身は請負の区分で見ます。
アは、国税庁が名称では判断しないと明示している点を落としています。ウは、1万円未満が非課税という線と、100万円以下が200円という段階を混同しています。非課税なのは1万円未満だけです。
ケース2 柏市の会社です。経理事務を外部に任せる契約で、期間は1年、自動更新あり、月額5万円と支払日を決めました。成果物の納品はありません。
ア 成果物がないので、どの区分にも当たらない
イ 請負ではないが、継続的取引の区分を見る必要がある
ウ 月額が少額なので、印紙は要らない
答えと解説を開く
答え:イ
完成を約束していないので請負の区分からは外れますが、営業者の間で、期間が3か月を超え、更新の定めもあり、対価の支払方法を定めています。継続的取引の基本となる契約書に当たるかを見る場面です。
アは、請負だけを見て判断を止めています。ウは、この区分が金額ではなく1通につき定額である点を落としています。
ケース3 松戸市の会社です。ケース2と同じ内容のまま、期間を3か月に変え、更新の定めを置かない契約書にしました。
ア 期間を短くしても扱いは変わらない
イ 3か月以内で更新の定めがないので、継続的取引の区分からは除かれる
ウ 期間を短くすると、かえって高い区分になる
答えと解説を開く
答え:イ
国税庁は、記載された契約期間が3か月以内で、かつ更新の定めのないものは除かれる、としています。期間と更新の両方を満たす必要があります。
アは除外の規定を見落としています。ウのように期間を短くして区分が重くなる仕組みはありません。ただし3か月ごとに結び直すなら、そのたびに作成した文書を見ることになります。
流山市での事例
流山市のウェブ制作会社から、取引先ごとに契約書の印紙の扱いがばらばらで不安だ、という相談がありました。見せていただくと、表題はすべて「業務委託契約書」でした。
中身を読むと、サイトを納品する契約と、公開後の保守を月額で続ける契約が混ざっていました。同じ表題で中身が違うのに、同じ扱いにしていたのが原因でした。保守のほうは期間と更新の書き方を整理して、判断の根拠を社内に残す形にしました。
柏市や松戸市でも、同じ相談をいただきます。表題をそろえるほど、中身の違いが見えにくくなります。
ワンポイントアドバイス
契約書を作ったら、表紙に区分の判断を1行メモして保管してください。何を根拠にその区分としたのかを残しておくと、あとから聞かれたときに説明できます。
紙でやり取りしない形を選ぶ会社も増えています。電子契約の有効性はこちらにまとめています。電子契約は本当に有効?電子署名法の2条と3条、立会人型と当事者型の違いを整理
まとめ
- 印紙が要るかどうかは、表題ではなく記載内容の実質的な意味で判断されます
- 仕事の完成を約束する契約は請負の区分で、金額に応じた印紙が要ります
- 金額の記載がない請負の契約書は200円です
- 継続的取引の基本となる契約書に当たると、1通につき4,000円です
- 期間が3か月以内で、かつ更新の定めがないものは、その区分から除かれます
自力で進める場合につまずきやすいのは、ひな形の表題だけを変えて使い回すことです。中身が違えば区分も変わるため、同じ扱いを続けていると、貼りすぎと貼り忘れが同時に起きます。
当事務所は、流山市・柏市・松戸市を中心に、業務委託契約書や基本契約書の作成と見直しを行っています。
税額の判定や納付の相談は税理士と税務署が窓口になりますので、必要に応じてご案内します。
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