契約不適合責任は6か月で切れます。事業者間の売買は民法より商法が先です
今回の記事は納品した物に不具合があったときの責任についてになります。
あとから見つかったのだから直してもらえるはずだ、といったことはありませんでしょうか。
事業者どうしでは期間が短くなります。
流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。
この記事の結論
- 瑕疵担保責任は、令和2年から契約不適合責任という形になりました
- 事業者どうしの売買では、受け取ったら遅滞なく検査して、すぐ通知する義務があります
- すぐに分からない不具合でも、引渡しから6か月を過ぎると請求できなくなります
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できることが4つに整理されました
納めた物が契約の内容に合っていないとき、買った側は何を言えるのか。
ここが民法の改正で整理されました。できるのは4つです。
直してもらう、代わりの物を入れてもらう、代金を減らしてもらう、損害の賠償を求める。
そして契約そのものを解除することもできます。
以前の瑕疵担保責任では、隠れた欠陥かどうかが争点になりがちでした。
今は契約の内容に合っているかどうかで見ます。
ここが実は大きい変更です。
何が契約の内容だったのかは契約書で決まりますので、仕様を書いていなければ合っていないと言いにくくなります。
民法だけなら、知った時から1年です
期間の話に入ります。
民法では、種類や品質が契約に合っていないと知った時から1年以内に通知することとされています。
通知であって、訴えを起こすことまでは求められていません。
なお、数が足りない場合はこの1年の枠から外れます。見れば分かる話なので、扱いが別です。
請負の場合も、注文者が知った時から1年以内に通知する形です。
工事や製作の請負では、こちらが働きます。
| 場面 | 検査の義務 | 通知の期限 |
|---|---|---|
| 消費者が買った場合(民法) | なし | 不適合を知った時から1年 |
| 事業者どうしの売買(商法) | 受け取ったら遅滞なく検査 | 発見したら直ちに。すぐ分からないものは引渡しから6か月 |
| 工事や製作の請負(民法) | なし | 不適合を知った時から1年 |
| 数量が足りない場合 | 売買の形による | 1年の枠の対象外 |
事業者どうしなら、商法が先に効きます
ここからが本題です。
買う側も売る側も事業者である売買では、商法の決まりが優先します。
買った側には受け取ったら遅滞なく検査する義務があり、不具合を見つけたら直ちに通知しなければなりません。
黙っていると、直してもらうことも代金を減らしてもらうこともできなくなります。
1年ではなく、すぐです。
すぐには分からない性質の不具合であっても、引渡しから6か月を過ぎると同じように請求できなくなります。
倉庫に入れたまま開けずにいて、半年後に開けたら不良だった。
この場合は手遅れになり得ます。
ただし、売った側が不具合を知っていて黙っていたときは別です。
この期間の制限は働きません。
契約書で変えられます
救いがあります。
この商法の決まりは、当事者の合意で変えられるものです。
買う側なら検査の期間を10営業日、通知の期間を引渡しから1年といった形で伸ばしておく。
売る側なら逆に短く区切っておく。
どちらの立場かで、書きたい中身が反対になります。
だからこそ、相手から出てきた契約書のこの条項は必ず読んでください。
何も書かれていなければ、商法の短い期間がそのまま適用されます。
書いていないことが、買う側にとって不利に働く珍しい場面です。
売買の契約書で、この5つが書いてあるか
□ 何をもって契約に適合しているとするか(仕様、数量、規格、サンプル)
□ 受け取ってから検査を終えるまでの期間(何営業日以内か)
□ 不具合を見つけたときに通知する方法と期限
□ すぐに分からない不具合について、いつまで請求できるか
□ 請求できる中身(修理、代替品、代金の減額、返品のどれまでか)
よくある質問
Q. 検査をせずに受け取ってしまいました。もう請求できませんか。
直ちに請求できなくなるわけではありません。
ただし事業者どうしの売買では検査を怠った側に不利に働きますので、気づいた時点ですぐ通知してください。
引渡しから6か月を過ぎているかどうかが分かれ目になります。納品書の日付を先にご確認ください。
Q. 通知は口頭でもよいですか。
法律上は口頭でも通知になりますが、実務ではおすすめしません。
いつ何を伝えたかを後から示せないためです。
メールで、品番と数量と不具合の内容を書いて送ってください。
写真を添えておくと、その後の話が早く進みます。
Q. 契約書に何も書いていない取引が続いています。
その場合は商法の短い期間がそのまま働きます。買う側であれば不利な状態です。
次の取引から、検査と通知の期間を入れた注文書の書式に切り替えるのが現実的です。
既存の取引先とは、覚書を1枚交わす形でも整います。
理解度チェッククイズ
Q1. 事業者どうしの売買で、すぐには分からない不具合の期限はどれでしょう。
A. 引渡しから6か月
B. 知った時から1年
C. 引渡しから2年
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正解:A。民法の1年より短くなります。
Q2. 契約不適合責任として求められないのはどれでしょう。
A. 取引の停止
B. 代金の減額
C. 代わりの品の引渡し
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正解:A。追完、減額、賠償、解除の4つが基本です。
Q3. 商法の検査と通知の決まりについて、正しいのはどれでしょう。
A. 契約で別の内容に変えられる
B. どんな契約でも変えられない
C. 買う側だけが変えられる
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正解:A。書いておけば期間を伸ばせます。
体験談・事例
松戸市で部品を仕入れて組み立てている会社のお客様から、納品された材料の不良についてご相談をいただいたことがあります。
使ったのは納品から8か月後でした。
契約書に検査と通知の条項がなく、交渉は難しい形になりました。
以降は注文書に検査期間を入れています。
ワンポイントアドバイス
取引先ごとに、契約書の検査と通知の条項だけを抜き出して一覧にしてみてください。
何日以内か、いつまで請求できるか。
この2つを並べるだけで、どこが弱いかが分かります。
全部を読み直す必要はありません。弱いところから覚書で直せば足ります。
まとめ
- できるのは追完、減額、賠償、解除の4つです
- 事業者どうしの売買は、遅滞なく検査して直ちに通知する必要があります
- 契約書に書けば期間は変えられます。書かなければ短いままです
ここまでが期間の話です。
実務でつまずくのは、むしろ何が契約の内容だったのかという点かもしれません。
仕様書もサンプルもないまま取引が続いていると、不具合だと主張しても、そういう物だと返されます。
期間を伸ばす前に、まず何を納めてもらう約束だったのかを書き残してください。
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