道路使用許可、警察署が2つにまたがったら両方に出す?片方で足ります
工事の場所が2つの警察署の管轄にまたがっても、道路使用許可の申請は片方の警察署長に出せば足ります。同じ公安委員会の管理に属していることが条件です。
流山市と柏市の境で工事をするので、申請書を2部作って両方の警察署に持っていこうとしている、といったことはありませんでしょうか。流山市・柏市・松戸市の事業者様からのご相談をもとに整理します。
この記事の結論
- 同じ公安委員会の管理に属する2つ以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署長の許可で足ります
- 道路占用許可も必要な工事では、道路管理者を経由して道路使用許可の申請書を出すことができます
- 交付された許可証の記載事項が変わったときは、届け出て記載を受けます
お急ぎの方は一度以下HPまたはLINEから、お気軽にお問い合わせください。
複雑な手続きは専門家にお任せください。初回相談は無料です。
条文のかっこの中に、答えが書かれています
道路使用許可の根拠になる条文は、申請先をこう書いています。当該行為に係る場所を管轄する警察署長の許可、そして続けて当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可、です。
「そのいずれか」という書き方なので、申請者が選べます。どちらに出すかの優先順位は条文に書かれていません。
警察庁の解説でも同じ内容が示されています。道路使用の許可行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する2つ以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの警察署長の許可を受けなければならない、という形です。
ここで効いてくるのが同一の公安委員会という条件です。千葉県内であれば、流山市も柏市も松戸市も千葉県公安委員会の管理下にあります。市をまたいでも県内なら、この扱いが使えます。
県をまたぐときは、この扱いが使えません
条件が「同一の公安委員会」なので、県境をまたぐ工事では話が変わります。千葉県と埼玉県にまたがる場所であれば、公安委員会が別になります。
流山市と松戸市は江戸川を挟んで東京都と埼玉県に接しています。橋の工事や河川敷の作業では、この境がそのまま公安委員会の境になります。
この場合は、それぞれの所轄警察署長の許可を受ける形になります。1枚で済まないのは、県が変わるときです。市が変わるだけなら県内の扱いで足ります。
判断の順番としては、まず都道府県が同じかを見ます。同じなら片方に出せます。違うならそれぞれに出します。市の数ではなく県の数で決まる、と覚えておくと間違えません。
| 工事の場所 | 公安委員会 | 申請先 |
|---|---|---|
| 流山市内だけ | 千葉県 | その場所を管轄する警察署長 |
| 流山市と柏市にまたがる | 千葉県 | いずれかの警察署長 |
| 松戸市と柏市と流山市にまたがる | 千葉県 | いずれかの警察署長 |
| 千葉県と埼玉県にまたがる | 別になる | それぞれの警察署長 |
道路占用も要るときは、市役所を経由できます
窓口をまとめられる場面がもう1つあります。道路に物を置く工事で道路占用許可も必要な場合です。
道路交通法の許可の手続の条文には、こう書かれています。許可に係る行為が道路法の占用の規定の適用を受けるものであるときは、申請書の提出は当該道路の管理者を経由して行なうことができる、です。そして、道路の管理者はすみやかに当該申請書を所轄警察署長に送付しなければならないと続きます。
道路管理者というのは、市道なら市役所、県道なら県の土木事務所です。占用の相談で市役所に行く用事があるなら、そこで道路使用の申請書も一緒に預けられるという意味になります。
ただし「できる」と書かれているので、義務ではありません。急ぎの案件では、警察署へ直接出したほうが早い場合もあります。経由する分だけ送付の日数が乗るためです。標準処理期間の目安は別記事にまとめています。
許可証をもらったあとの届出があります
許可が出ると許可証が交付されます。この許可証について、条文はこう書いています。交付を受けた者は、当該許可証の記載事項に変更を生じたときは、所轄警察署長に届け出て、許可証に変更に係る事項の記載を受けなければならない、です。
工事では、記載事項が動く場面がよくあります。施工業者が変わった、工事の方法が変わった、連絡先の担当者が代わった、といった形です。
許可を取り直すのか、届出で足りるのかは中身によります。工事の期間や場所そのものが変わるなら、新しい申請になることが多いです。許可証の記載と現場の実態がずれている状態を放置しないことが要点です。
許可証を亡失したり汚損したりしたときは、再交付を申請することができます。現場に置いておくものなので、雨で傷むことがあります。
道路使用許可の申請先でよくある質問
どちらの警察署に出すのが有利ですか
条文に優先順位はないので、事業者が選べます。実務では、工事の区間が長いほうを管轄する署、あるいは事務所から近い署に出すことが多いです。ただし現場の交通状況を把握しているのは実際に管轄する署なので、条件の付き方は変わる可能性があります。迷ったら、工事の中心がある側に出しておくと説明が通りやすいです。
申請書は1部でよいのですか
提出する部数は様式と各県の運用によります。片方の署に出せばよいという話は、許可を受ける先が1つで足りるという意味で、提出部数の話とは別です。部数は申請先の警察署に確認してください。
工事の途中で区間が延びて、別の警察署の管轄に入りました
場所が変わるので、もとの許可の範囲を超えます。記載事項の変更の届出で済む話ではなく、新しい申請が必要になる可能性が高いです。延びることが分かった段階で、許可を受けた警察署に相談してください。後から気づくより、見込みの段階で相談するほうが現場が止まりません。
道路使用許可の申請先をケースで確認
自分の案件に置き換えて読んでみてください。答えは隠してあります。
ケース1 流山市から柏市にかけて、500メートルほどの水道管の入れ替え工事をします。場所は2つの警察署の管轄にまたがります。道路使用許可の申請はどうなるでしょうか。
ア 両方の警察署長の許可が必要。管轄ごとに申請する
イ いずれかの警察署長の許可で足りる。同じ千葉県公安委員会の管理下にある
ウ 県の公安委員会に直接申請する。複数の署にまたがる案件は県の扱いになる
答えと解説を開く
答え:イ
条文は、同一の公安委員会の管理に属する2つ以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可、としています。流山市と柏市はどちらも千葉県公安委員会の管理下なので、片方に出せば足ります。
アは管轄の数だけ申請が要ると考えています。改正前の扱いでもなく、もともとこの条文は1つで足りる形になっています。ウは公安委員会が窓口になると考えていますが、許可を出すのは警察署長です。公安委員会は管理の単位として条文に出てくるだけです。
ケース2 松戸市で、道路に資材を置いて作業をします。道路占用許可も必要になりそうです。市役所に占用の相談に行く予定があります。道路使用許可の申請書はどうするのが効率的でしょうか。
ア 占用の相談のときに、道路管理者を経由して道路使用の申請書も提出する
イ 占用の許可が出てから、その許可証を添えて警察署に道路使用を申請する
ウ 道路使用の許可が出てから、その許可証を添えて市役所に占用を申請する
答えと解説を開く
答え:ア
条文は、道路法の占用の規定の適用を受けるものであるときは、申請書の提出を道路の管理者を経由して行うことができるとしています。市役所に行く用事があるなら、そこで道路使用の申請書も預けられます。管理者は、すみやかに警察署長へ送付します。
イとウは、どちらかの許可が出るのを待つ順番を作っています。条文が用意しているのは、順番を作らずに同じ窓口で出す道です。待つ形にすると、2つの手続きの日数が足し算になります。ただし経由には送付の日数が乗るので、急ぐときは警察署へ直接出す選択もあります。
ケース3 柏市の工事で道路使用許可を受けました。許可証の交付も受けています。工事の途中で、現場の責任者と連絡先が変わりました。何をすればよいでしょうか。
ア 何もしなくてよい。許可の内容そのものが変わるわけではない
イ 所轄警察署長に届け出て、許可証に変更に係る事項の記載を受ける
ウ 許可を返納し、新しい内容で申請をやり直す
答えと解説を開く
答え:イ
条文は、許可証の交付を受けた者は、記載事項に変更を生じたときは所轄警察署長に届け出て、許可証に変更に係る事項の記載を受けなければならないとしています。許可証に書かれている内容が動いたのであれば、届出の対象です。
アは、許可の中身が同じなら放置してよいと考えています。許可証は現場で見せるものなので、書かれていることと実態がずれたままにはできません。ウは申請のやり直しです。工事の期間や場所が変わるならその可能性もありますが、連絡先の変更で返納まで進める必要はありません。
流山市の事業者様からのご相談
流山市の事業者様から、市境の工事で申請先が分からないというご相談をいただいたことがあります。区間の3分の2が流山市、残りが柏市に入る工事でした。
当初は両方の警察署に出すつもりで、図面も2部用意しておられました。条文のかっこ書きをご説明し、区間の長いほうを管轄する署に1本で出す形に整理しました。
結果として、現地の立会いも1回で済んでいます。申請の本数が減ると、条件のすり合わせをする相手も1つになります。両方に出していたら、条件が食い違ったときの調整が発生していました。
申請先でつまずかないためのワンポイントアドバイス
工事の区間を決めた日に、地図の上で都道府県の境を確認してください。市の境は気づきやすいのに、県の境は見落とします。
そして、道路の管理者が誰かも同時に押さえてください。市道か県道か国道かで、占用の相談先が変わります。この2つを先に紙に書いておけば、窓口を間違えて往復することがなくなります。
申請の日程は、標準処理期間から逆算してください。経由を使う場合は、送付の日数を見込んで前に倒しておくと安全です。
道路使用許可の申請先のまとめ
- 同一の公安委員会の管理に属する2つ以上の警察署長の管轄にわたるときは、いずれかの警察署長の許可で足ります
- どちらに出すかの優先順位は条文にありません。事業者が選べます
- 都道府県をまたぐ場合は、公安委員会が別になるためこの扱いは使えません
- 道路占用許可も必要なときは、道路管理者を経由して申請書を出せます
- 許可証の記載事項が変わったときは、届け出て記載を受けます
自力で進めてつまずくのは、管轄の数だけ申請が必要だと考えて図面を複数用意してしまう場面です。手間が増えるだけでなく、条件の調整先も増えます。
行政書士むらた事務所では、流山市・柏市・松戸市を中心に(内容によってはオンラインで全国対応)、道路使用許可と道路占用許可の申請書類の作成・提出をお引き受けしています。
工事の請負契約に関する紛争は弁護士へ、税務は税理士へ、労務や社会保険の手続きは社労士へおつなぎします。
「どこに出せばよいか分からない」の状態で構いません。初回相談は無料です。当事務所へのご相談はHPまたは公式LINEから24時間受け付けております。
あわせて、道路使用許可は何日前に出す?標準処理期間の7日に土日は入りませんと道路使用許可は元請と下請、どちらが出すのかもご覧ください。
是非お気軽にご相談ください。
複雑な手続きは専門家にお任せください。初回相談は無料です。


