歯科医師は2か所の管理者を兼ねられません。拠点を増やす前の医療法第12条
こんにちは。
千葉県流山市の行政書士むらた事務所です。
今回の記事は診療所を2か所管理するときの許可についてになります。
訪問先を広げたいので、もう1か所に拠点を出そうと考えている、といったことはありませんでしょうか。
管理者を兼ねるには、その前に許可が要ります。
流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。
この記事の結論
- 医師や歯科医師は、原則として2か所の管理者になれません
- 医療法第12条第2項の許可を受ければ、兼ねることができます
- 令和5年12月の事務連絡で、在宅医療向けの考え方が示されました
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管理者は、1人1か所が原則です
訪問歯科や在宅医療で診療圏を広げようとすると、2か所目の拠点という話が出てきます。
先に確かめておきたいのが管理者です。
医師や歯科医師は、原則として2つ以上の病院や診療所の管理者になれません。
根拠は医療法第12条です。
開設者が医師や歯科医師であれば、自らその診療所を管理することとされています。
そのうえで第2項に、都道府県知事の許可を受けた場合には、2か所以上を管理できるという定めが置かれています。
兼ねること自体は可能です。
ただし許可が先で、物件を決めてから相談する話ではありません。
認められる場面は、限られています
この許可は、申請すれば通るものではありません。
従来の運用では、無医地区や、社会福祉施設の中に置かれた診療所、工場内の診療所、救急や夜間の診療といった場面に限られてきました。
そのうえで、入院させる施設がないこと、施設どうしの連絡が容易であること、診療の日や時間が重ならないことが求められます。
いま管理している診療所の診療に支障が出ないことも見られます。
ここで大きいのが、令和5年12月27日の厚生労働省の事務連絡です。
地域の医療提供体制が足りない場合や、規模と診療時間から見て両方を管理できる場合には許可がなされる、という考え方が示されました。
へき地や医師少数区域の診療所、地域の専門的な医療ニーズを担う診療所が例に挙げられています。
在宅医療の環境整備という文脈から出たものです。
訪問を軸に広げるなら、目を通しておく価値があります。
申請は保健所へ、開設の前に出します
千葉県では、申請先は管轄の保健所です。
随時受け付けています。
出すものは、申請書、臨床研修修了登録証と免許証の写し、履歴書です。
もう1か所の開設者が別の方なら、承諾書も要ります。
順番としては、2か所目の開設届より前にこの許可を取ります。
診療の日時が重ならないことが要件になりますので、診療時間の組み方が固まっていないと、そもそも申請できません。
逆に、時間割さえ整理できていれば話は早く進みます。
| やりたいこと | 第12条第2項の許可 |
|---|---|
| 2か所目を出し、別の歯科医師を管理者にする | 不要 |
| 2か所目を出し、自分が両方の管理者になる | 必要 |
| 他院の管理者に、自院の管理者も兼ねてもらう | 必要(承諾書も) |
| 拠点は増やさず、訪問先だけを広げる | 不要 |
2か所目を出すときの順番
訪問したい地域を決める
↓ 16kmの範囲で足りるか確認
拠点を増やすか、訪問先を広げるかを決める
↓ 拠点を増やすなら
管理者を誰にするかを決める
↓ 自分が両方を管理するなら
診療の日時が重ならない時間割を作る
↓ 時間割ができてから
保健所へ第12条第2項の許可を申請する
↓ 許可が出てから
診療所の開設届を出す
よくある質問
Q. 訪問先を増やすだけでも、この許可は要りますか。
要りません。
この許可は、診療所という施設を2か所管理する場合の話だからです。
訪問診療は、あくまで1つの診療所から出ていく形になります。
まず半径16キロメートルの範囲で足りるかを確かめて、それでも届かない地域があるときに、はじめて拠点を増やす検討に入ってください。
Q. 2か所目の管理者を、勤務している歯科医師に任せる形ではどうですか。
その方が管理者になるのであれば、第12条第2項の許可は不要です。
ただし管理者は常勤で、その診療所の運営に責任を持つ立場になりますので、名前だけを借りる形はとれません。
人が先に決まっていないと動かせない部分ですので、拠点の話と採用の話は同時に進めることになります。
Q. 許可が下りるまで、どのくらいみておけばよいですか。
随時受け付けとされていますが、審査の期間は保健所によって幅があります。
診療時間の組み方や、両方を管理できる体制かどうかを見られますので、書類がそろってからの日数だけでは測れません。
物件の契約日から逆算するのではなく、先に保健所へ相談に行く順番にしてください。
理解度チェッククイズ
Q1. 医師や歯科医師が2か所の診療所を管理するとき、必要なものはどれでしょう。
A. 届出だけ
B. 都道府県知事の許可
C. 何も要らない
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正解:B。医療法第12条第2項の許可です。
Q2. 許可の要件に含まれないのはどれでしょう。
A. 診療の日時が重ならないこと
B. 施設どうしの連絡が容易なこと
C. 2か所が同じ市内にあること
答えを見る
正解:C。入院させる施設がないことも見られます。
Q3. 令和5年12月の事務連絡で示された考え方はどれでしょう。
A. 許可の制度そのものが廃止された
B. へき地や医師少数区域の診療所も対象になり得る
C. 訪問診療には許可が要るようになった
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正解:B。在宅医療の環境整備という文脈から出ています。
体験談・事例
松戸市の歯科医院様から、訪問先が遠くなってきたのでもう1か所出したい、とご相談をいただいたことがあります。
物件は目星がついていました。
ただ、管理者をどうするかが決まっていません。
ご自身が両方を見るつもりでおられたので、許可が要ることをお伝えし、診療時間の組み直しから着手しています。
ワンポイントアドバイス
拠点を増やす前に、いまの診療所からの距離をもう一度測ってください。
訪問診療には半径16キロメートルという目安があり、その中で足りるなら拠点は増やさずに済みます。
増やすとなれば、管理者、開設届、保険医療機関の指定と、手続きが並びます。
距離の確認だけなら地図の上で10分です。
ここで結論が出ることは、実際にあります。
まとめ
- 医師や歯科医師は原則として2か所の管理者になれません
- 兼ねるには医療法第12条第2項の許可が必要です
- 診療の日時が重ならない時間割が、申請の前提になります
ここまでが管理者の話です。
ただし実務でつまずくのは、許可より保険の指定かもしれません。
2か所目を開設しても、保険医療機関の指定を受けるまでは保険診療ができません。
指定には締切があり、遡ってはくれません。
開設の日と指定の日がずれると、その間の収入が立ちません。
行政書士むらた事務所では、流山市・柏市・松戸市を中心に(ご相談内容によってはオンラインで全国対応)、診療所の開設届、2か所管理の許可申請、訪問歯科の立ち上げをお引き受けしています。
診療報酬の算定や施設基準の届出は、専門の事業者と連携して進めます。
「うちの場合は許可が要りますか」の確認だけのご相談で構いません。
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