身体拘束のルールは訪問介護にも入りました。委員会と指針までは要りません
こんにちは。
千葉県流山市の行政書士むらた事務所です。
今回の記事は身体拘束のルールについてになります。
うちは訪問だから施設の話とは関係ない、と思っている、といったことはありませんでしょうか。
令和6年4月から、訪問系にも規定が入っています。
流山市・柏市・松戸市の事例をもとに整理します。
この記事の結論
- 訪問系と通所系にも、身体的拘束等の禁止と記録が入りました
- ただし委員会・指針・研修までは求められていません
- 減算の対象にもならないため、見落とされがちです
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令和6年4月から、訪問系も対象になりました
身体拘束は施設の話、という理解が長く続いてきました。
実際、委員会や指針の整備は施設系のサービスに課されてきたものです。
ところが令和6年度の改定で、訪問系と通所系を含むサービスの運営基準に、身体的拘束等の禁止が入りました。
内容は、緊急やむを得ない場合を除いて身体的拘束等を行ってはならない、というものです。
そして行った場合には記録が求められます。
訪問介護、訪問看護、通所介護、居宅介護支援。
いずれも自分の事業所には関係のない話ではなくなりました。
ただし委員会と指針までは求められていません
ここが誤解されやすいところです。
訪問系と通所系に入ったのは、禁止と記録の2つだけです。
3か月に1回以上の委員会の開催、適正化のための指針の整備、年2回以上の研修。
この3つは求められていません。
身体拘束廃止未実施減算の対象にもなりません。
減算がないため、運営指導で強く言われる機会も少ない。だから見落とされます。
なお、短期入所系と多機能系のサービスは令和7年度から4項目すべてが義務になります。
施設系と特定施設、認知症対応型共同生活介護はもともと義務です。
自分の事業所がどの列に入るのかを、まず確かめてください。
訪問先で拘束が起きる場面は、実はあります
訪問なのに拘束など起きない、と思われるかもしれません。
ただ、現場では判断に迷う場面があります。
ベッドの四方を柵で囲む。車いすから立ち上がれないようにベルトを使う。
玄関を施錠して外に出られないようにする。ミトン型の手袋をつける。
これらはいずれも身体的拘束等に当たり得ます。
家族から頼まれた、という理由だけでは正当化されません。
緊急やむを得ない場合として認められるには、切迫性、非代替性、一時性の3つがそろっている必要があるとされています。
1つでも欠けたら拘束はできません。
そのうえで、態様、時間、その際の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録します。
| サービス | 禁止と記録 | 委員会・指針・研修 | 減算 |
|---|---|---|---|
| 訪問系・通所系 | 令和6年4月から | 求められない | なし |
| 短期入所系・多機能系 | 義務 | 令和7年度から義務 | あり |
| 施設系・特定施設・グループホーム | 義務 | すでに義務 | あり |
緊急やむを得ない場合の3要件(1つでも欠けたら拘束できない)
切迫性 → 生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高いか
↓ 満たす
非代替性 → 身体拘束以外に代わる方法がないか
↓ 満たす
一時性 → 一時的なものにとどまるか
↓ 3つそろってはじめて
態様・時間・心身の状況・理由を記録する
よくある質問
Q. ご家族から頼まれた場合はどうなりますか。
家族の依頼があっても、それだけで拘束が認められるわけではありません。
判断の軸は3要件を満たすかどうかで、依頼の有無は要件に含まれていないためです。
実務では、なぜその方法が必要なのかを家族と一緒に整理し、代わる方法がないかを先に検討した記録を残す形になります。
Q. 記録はどこまで書けばよいですか。
態様、時間、その際の利用者の心身の状況、そして緊急やむを得ない理由の4つが求められています。
時間は開始と終了の両方を書いてください。
理由の欄に「危険なため」とだけ書かれている記録をよく見かけますが、これだと3要件を検討した形跡が残りません。
Q. 委員会が不要なら、何もしなくてよいですか。
禁止と記録は求められていますので、何もしないというわけにはいきません。
委員会の設置までは不要でも、拘束に当たる行為を職員が判断できる状態にしておく必要はあります。
既存の会議の議題に一度載せて、3要件と記録の様式を共有しておくと現実的です。
理解度チェッククイズ
Q1. 訪問系サービスに求められるのはどれでしょう。
A. 禁止と記録だけ
B. 委員会・指針・研修まで
C. 何も求められない
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正解:A。委員会と指針は施設系などの話です。
Q2. 緊急やむを得ない場合の3要件に含まれないのはどれでしょう。
A. 切迫性
B. 家族の同意
C. 非代替性
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正解:B。3つ目は一時性です。
Q3. 記録に残す項目に含まれないのはどれでしょう。
A. 態様と時間
B. 心身の状況
C. 担当職員の勤続年数
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正解:C。4つ目は緊急やむを得ない理由です。
体験談・事例
流山市の訪問介護事業所様から、ベッド柵のことでご相談をいただいたことがあります。
転落が心配だとご家族に頼まれ、四方を柵で囲んでいました。悪気はまったくありません。
ただ、これは身体的拘束等に当たり得ます。
代わりに低床ベッドと衝撃吸収マットを検討していただき、記録の様式もあわせて整えました。
ワンポイントアドバイス
まず、自分の事業所に何が求められているのかを1行で言えるようにしてください。
訪問系なら禁止と記録の2つです。
そのうえで、記録の様式を先に作ります。様式がないまま「気をつけましょう」と言っても、現場では判断できません。
3要件を上から順に確認する形の用紙にしておくと、書きながら考える流れになります。
まとめ
- 訪問系と通所系にも令和6年4月から規定が入りました
- 求められているのは禁止と記録で、委員会までは不要です
- 3要件がそろわない限り、拘束はできません
ここまでが制度の線引きです。
ただし実務でつまずくのは、要件の暗記ではありません。
目の前の行為が拘束に当たるのかどうか、その場で判断できるかどうかです。
ベッド柵、ミトン、施錠。これらが候補に挙がることを職員が知っているだけで、相談が上がってくるようになります。
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