自社ブランドを守る!品質不良時の責任を明確にするOEM契約書の作り方
こんにちは。
千葉県流山市の行政書士むらた事務所です。
今回の記事は自社ブランド品を委託製造(OEM)する際における、品質不良時の責任を問う契約書の肝についてになります。
「せっかくOEMで製品を作ったのに、不良品が大量に発生して工場側と責任の押し付け合いになってしまった」といったことはありませんでしょうか。
今回は、致命的なトラブルを防ぎ、自社ブランドを守るためのOEM契約書の必須項目について解説します。
【この記事の結論(3つのポイント)】
・品質不良の原因が「仕様」か「製造」かで責任の所在を切り分ける必要があります
・単なる返品交換だけでなく製品回収(リコール)費用の負担明記が不可欠です
・受入検査の期限と「契約不適合責任」の期間を具体的に設定しましょう
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なぜ品質トラブルで責任が曖昧になるのか?
OEM製造において不良品が発生した場合、直ちに「工場(受託者)の責任だ」と言い切れるわけではありません。
契約上、責任の所在を明確にするためには、不良品が発生した根本原因を切り分けるという思考が不可欠です。
以下の表で、責任の境界線を視覚的に整理してみましょう。
| 不良の根本原因 | 責任を負う当事者 | 具体的なケース |
| 仕様書・設計のミス | 委託者(自社) | 自社が指定した素材自体の耐久性がそもそも足りなかった |
| 製造工程のミス | 受託者(工場) | 指定された手順を守らず、組み立て不良や異物混入が起きた |
| 原因不明・グレーゾーン | 協議で決定 | 事前に契約書で「原因究明の費用負担」などを決めておく |
このように、自社の指示ミスによる不良であれば、工場側に再製造の費用を請求することはできません。
契約書には、「仕様に基づく不具合は委託者」「製造過程の不具合は受託者」という責任の分岐点を明確に言語化しておくことが最大の肝となります。
不良品の交換だけでは済まない隠れたリスク
「不良品が出たら、良品と交換させる条項を入れているから安心だ」と考えるのは非常に危険です。
なぜなら、重大な品質不良が発覚した場合、被害は商品の原価だけにとどまらないからです。
市場に出回ってしまった製品の自主回収(リコール)費用や、代替品の手配にかかる緊急輸送費などは、莫大な金額に上ります。
さらに、その不良品によって消費者がケガをした場合、製造物責任(PL法)によって、ブランドロゴを冠している自社が多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。
そのため、「直接的な製造代金」だけでなく、「第三者への損害賠償や回収費用等も工場側に求償(請求)できる」という条項を必ず盛り込む必要があります。
受入検査と契約不適合責任の期限
工場から製品が納品された際、いつまでに、どのように検査を行うかも重要なポイントです。
契約書には「納品後〇日以内に受入検査を行う」と明記し、合格して初めて支払い義務が生じる形にします。
しかし、外観の検査では見抜けず、消費者が使い始めてから半年後に発覚するような「隠れた瑕疵」も存在します。
これに対応するため、受入検査を通過した後であっても、納品から一定期間(例:1年間など)は工場側が責任を負う「契約不適合責任」の期間を設定することが自社を守る盾となります。
曖昧な契約書でリコール費用を全額負担した事例
以前知り合いの弁護士に聞いた企業様の事例です。
初めてのOEM製造ということで、海外の工場が提示した簡素な雛形の契約書にそのままサインをしてしまったそうです。
半年後、工場の接着剤の選定ミスにより部品が剥がれるトラブルが多発し、大規模な自主回収に発展しました。
しかし、契約書には「納品後14日を過ぎた不良のクレームは一切受け付けない」「賠償上限は該当ロットの製造代金まで」と書かれていたのです。
結果として工場側に責任を問えず、数百万に及ぶ回収費用の全額を自社で被ることになってしまいました。
相手が用意した自社に不利な条項を見逃さないことが、企業防衛の要だと痛感する事例でした。
ワンポイントアドバイス
工場側が提示してくる契約書の雛形には、必ずと言っていいほど「損害賠償の上限額は、本件の製造委託代金を上限とする」といった責任制限条項が入っています。
これをそのまま受け入れてしまうと、万が一のPL事故の際に自社が倒産しかねません。
実務においては、この上限条項を削除するよう交渉するか、あるいは「工場の故意または重過失による場合は上限を設けない」という例外規定をねじ込む交渉が必須となります。
疑問を解決するQ&A
Q1.OEM工場が海外の場合、契約書は日本の法律で作れますか?
可能です。
ただし、契約書の中に「準拠法は日本法とする」「管轄裁判所は日本の裁判所とする」という条項を必ず入れておく必要があります。
これが無いと、トラブル時に現地の法律で裁かれ、圧倒的に不利な状況に陥ります。
Q2.工場が独自の技術を使った場合、権利はどちらの物になりますか?
契約で明確に定めない限り、後々深刻なトラブルになります。
自社ブランドを守るため、「製造過程で新たに生じた知的財産権は委託者に帰属する」または「無断で他社へ転用・流用しない」旨を明記することが極めて重要です。
Q3.受入検査で全品検査が難しい場合はどうすればいいですか?
抜き取り検査の基準を契約書や個別契約で具体的に定めておくのが実務上の基本です。
「対象ロットの〇%を抽出し、不良率が〇%以上であればロットごと全品返品とする」といった明確なルールを定めておきましょう。
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