補助金の賃上げ要件「未達成」で返還?加点狙いの落とし穴と回避策
こんにちは。
千葉県流山市の行政書士むらた事務所です。
今回の記事は、補助金の賃上げ要件と未達成時の返還義務についてになります。
「加点狙いで賃上げを宣言したけれど、もし達成できなかったらどうなるの?」
「業績が悪化しても必ず給料を上げなければならないのか不安だ」
といったことはありませんでしょうか。
本記事では、補助金の加点要件に関するリスクと対策をわかりやすく解説いたします。
【この記事の結論(3つのポイント)】
・賃上げ要件未達成の場合、原則として補助金の返還義務が生じる
・業績悪化などの正当な理由があれば返還免除となるケースも存在する
・加点を狙う際は5年間の事業計画とリスクシミュレーションが不可欠である
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賃上げ加点とは何か?未達成時のリスク
補助金の採択率を上げるため、「給与総額を年率1.5%以上増加させる」などの賃上げを事業計画に盛り込む企業は多く存在します。
しかし、これは単なる目標ではなく国との強固な約束です。
もし未達成に終わった場合、原則として補助金の一部または全部の返還が求められます。
補助金を受け取って設備投資を終えた後になって、資金の返還を求められることは経営にとって致命傷になりかねません。
代表的な補助金と返還ルールの整理
補助金の種類によって、賃上げ要件の厳しさは異なります。
以下の表で、代表的な補助金のルールとリスクを整理しましたので、全体像を把握してください。
| 補助金名 | 賃上げ要件の目安 | 返還リスクのレベル |
| ものづくり補助金 | 給与支給総額の年率平均1.5%以上増 | 非常に高い(未達成は原則返還) |
| 事業再構築補助金 | 給与支給総額の年率平均2.0%以上増など | 高い(要件未達で一部返還等) |
| IT導入補助金 | 賃上げ目標の策定と従業員への表明 | 中程度(枠により必須要件化) |
制度ごとに細かなルールは異なりますが、共通しているのは「事後の報告義務」が数年間にわたって続くという点です。
本当に全額返還?例外はないのか
ここで「どんな状況でも必ず返還しなければならないのか?」と前提を疑ってみましょう。
結論から言うと、天災や深刻な業績悪化など正当な理由がある場合は免除されるケースが存在します。
例えば、付加価値額が目標通りに伸びなかった場合、賃上げ未達でも返還が免除される規定が設けられている補助金もあります。
しかし、これを最初から当てにするのは非常に危険です。
「業績が悪化したら免除されるだろう」という甘い見通しは、将来の資金繰りを悪化させる大きな要因となります。
賃上げ宣言で後悔したA社の事例(参考)
これは私も先輩行政書士先生から聞いたお話なのですが、ある製造業のA社は、補助金の採択を優先するあまり、無理な賃上げ計画を提出して見事採択されました。
初年度は無事に賃上げを達成したものの、2年目に急激な原材料費の高騰に見舞われ、利益が激減してしまいます。
経営陣は「こんな状況で給料を上げたら会社が倒産してしまう」と悩み、専門家に相談しました。
結果的に「付加価値額の未達」という免除要件を満たしていたため、補助金の返還は免れました。
しかし、そのための理由書の作成や、期待していた従業員への説明対応に膨大な時間を奪われ、本業に深刻なダメージを残すことになったそうです。
ワンポイントアドバイス
補助金の申請において「加点要素はすべて取るべき」という風潮がありますが、それは実務上大きな間違いです。
現場の専門家としては、あえて賃上げ加点を狙わず、堅実な計画で申請する戦略をご提案することが多々あります。
数百万の補助金を得るために、将来的に数千万単位の人件費増を背負うことが本当に自社のためになるのか。
目先の採択率だけでなく、5年後のキャッシュフローまで見据えた冷静な経営判断が求められます。
賃上げ要件のよくあるQ&A
Q1.役員報酬を上げても賃上げ要件の対象になりますか?
対象になりません。
給与支給総額の計算において、役員報酬は原則として除外されます。
あくまで従業員に対する給与や賞与の増額が求められます。
Q2.従業員が自己都合で退職し給与総額が減った場合はどうなりますか?
人員減による給与総額の減少については、合理的な理由として認められるケースがあります。
ただし、一人当たりの賃金水準が維持・向上していることを証明する書類の提出が求められます。
Q3.どうしても賃上げが厳しい場合、途中で計画変更は可能ですか?
原則として、一度承認された事業計画の賃上げ目標を途中で下方修正することはできません。
そのため、申請前の段階で達成可能な現実的な計画を立てることが最も重要です。
申請前のリスク診断は専門家へお任せください
ここまで、賃上げ要件の未達成リスクと対策について解説してきました。
補助金は「もらって終わり」ではなく、採択後からの事業化状況報告こそが本番です。
「自社は賃上げの加点を狙うべきか迷っている」
「将来の返還リスクを正確にシミュレーションしたい」
こうしたお悩みは、補助金申請の実務と経営計画の策定に精通した行政書士むらた事務所へご相談ください。
流山・柏・松戸だけでなく、補助金申請は全国対応可です。
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