フリーランス新法で何が変わる?業務委託契約書で見直すべき必須条項
こんにちは。
千葉県流山市の行政書士むらた事務所です。
今回の記事は、フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)への対応と、業務委託契約書の見直しについてになります。
長年使っている業務委託契約書のひな型をそのまま使い続け、支払遅延やハラスメント対策が曖昧になっていて不安を感じたといったことはありませんでしょうか。
今回は、新法で絶対に外せないポイントと契約書改定の具体策をお伝えします。
【この記事の結論(3つのポイント)】
・フリーランス新法により期日内の報酬支払いやハラスメント対策が義務化された
・古い契約書のままでは勧告や公表、最悪の場合は罰金などのペナルティを受けるリスクがある
・自社を守るためにも実態に即した契約書へのアップデートが急務である
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なぜ今、フリーランス新法への対応が必要なのか
近年、多様な働き方が普及し、フリーランス(個人事業主)に業務を委託する企業が急増しています。
しかし、発注者と受注者の間には明確な「力の差」が存在するため、報酬の未払いや理不尽なやり直し要求などのトラブルが絶えませんでした。
改正前の下請法ではカバーしきれなかった「資本金1,000万円以下の企業」や「個人から個人への発注」も、今回の新法では広く規制の対象となります。
「うちは小さな会社だから関係ない」という思い込みは極めて危険です。
【図解視点】新法で変わる契約ルールとペナルティの全体像
具体的に何が変わるのか、企業が負うことになる新たな義務とリスクをマトリクス表で整理しました。
| 規制項目 | 従来の課題(よくあるトラブル) | 新法での義務内容 | 違反時のリスク(企業側) |
| 取引条件の明示 | 口約束やLINEのみで発注し、後から言った言わないの争いになる | 業務内容、報酬額、支払期日などを書面または電子データで明示する義務 | 国からの指導・助言、悪質な場合は勧告 |
| 報酬の支払期日 | 「検収後・月末締め翌々々月払い」など、支払いサイクルが長すぎる | 成果物の受領日から60日以内のできる限り短い期間内に支払う義務 | 50万円以下の罰金などの刑事罰リスク |
| ハラスメント対策 | 外部の人間だからとパワハラを放置し、相談窓口もない | フリーランスに対するハラスメントを防止する体制(相談窓口等)の整備義務 | 労働環境の悪化による損害賠償請求、企業名の公表 |
業務委託契約書で見直すべき2つの最重要条項
この表を踏まえ、自社の契約書ひな型ですぐに見直すべき具体的な条項を解説します。
1:報酬の支払いサイクルの見直し
「当月末日締め、翌々月末日払い」といった支払い条件になっている場合、受領日によっては60日ルールに違反する可能性があります。
契約書を「受領日から60日以内の〇日払い」など、法律に適合するサイクルに書き換える必要があります。
また、「検収が終わってから60日」ではなく「成果物を受け取った日(受領日)から60日」である点に細心の注意が必要です。
2:ハラスメント対策と相談窓口の明記
契約書の条文内に、ハラスメントを行わない旨の宣言事項と、万が一トラブルが起きた際の「相談窓口」を明記することが求められます。
これにより、発注側企業としてのコンプライアンス遵守の姿勢を示すことができ、予期せぬトラブルから自社を守る強力な防具となります。
曖昧な契約が招いたトラブルと法務の重要性
人材会社の役員として組織運営に携わり、多くのITエンジニアと業務委託契約を結んで現場を回していた時期がありました。
当時は「毎月末締め・翌々月末払い」という業界の慣習に沿った支払いサイクルにしていましたが、ある時、資金繰りに窮した優秀なエンジニアから「支払いを早めてもらえないか」と強く相談されたことがあります。
契約書に縛られて柔軟な対応ができず、結果としてプロジェクトの途中で離脱されてしまった苦い経験があります。
事業を円滑に進めるためには、法律を守るだけでなく、双方が安心して働けるルールを契約書に落とし込むことがいかに重要かを身をもって痛感しました。
ワンポイントアドバイス
契約書を見直す際、意外と抜け落ちがちなのが「受領」と「検収」の定義です。
新法では「受領日から60日以内」の支払いが義務付けられていますが、例えばITシステム開発などでは、成果物が納品されてからバグの確認(検収)に1ヶ月以上かかるケースもあります。
「何をもって受領としたか」を契約書で明確に定義し、検収プロセスをスムーズにする取り決めをしておかないと、支払期日だけが迫ってしまい実務が破綻します。
現場の業務フローと法律の要件をすり合わせた、実態に即した契約書のカスタマイズが不可欠です。
疑問を解決するQ&A
Q. 自社は資本金500万円の小さな会社ですが、新法の対象になりますか?
A. はい、対象になります。
改正前の下請法とは異なり、フリーランス新法は資本金の額にかかわらず、従業員を使用している発注事業者であれば広く規制の対象となります。
Q. 契約書は紙ではなく、電子契約やメールベースでも問題ありませんか?
A. 取引条件の明示は、電子メールやチャットツール、クラウドサインなどの電子契約でも問題ありません。
ただし、後から改ざんされない形で記録を残し、いつでも確認できるようにしておく必要があります。
Q. 既存の契約書はそのままでも大丈夫ですか?
A. 新法が施行された後に契約を更新する場合や、新たに業務を発注する場合は、新法に適合した条件にする必要があります。
既存の契約書を巻き直すか、覚書を追加して法的なリスクをカバーすることを強くお勧めします。
おわりに
フリーランス新法の施行は、企業にとって「面倒なルールの追加」と捉えられがちです。
しかし、見方を変えれば、曖昧だった外部人材との関係性をクリアにし、より強固で信頼できるパートナーシップを築くための絶好のチャンスでもあります。
古い契約書のまま放置して予期せぬペナルティを受ける前に、この機会に会社の法務体制を一段階レベルアップさせましょう。
「自社の業務委託契約書が新法に対応しているかチェックしてほしい」
「自社の業務フローに合った、安全なオリジナル契約書を作成してほしい」
「ハラスメント対策など、実務的な対応方法を相談したい」
このようなお悩みをお持ちの事業者様は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
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【参考URL】
・千葉県警察(https://www.police.pref.chiba.jp/)
・千葉県庁(https://www.pref.chiba.lg.jp/)
・e-Gov法令検索(https://elaws.e-gov.go.jp/)


