道路使用許可が必要な工事・作業まとめ|足場/クレーン/資材搬入で迷わない
はじめに|「これ、許可いる?」で止まらないために
工事や作業の段取りを考えていると、ほぼ必ず出てくるのがこの疑問です。
- 歩道に足場が少し出る
- クレーンを道路に止めて作業する
- 資材を一時的に道路側で荷下ろしする
このとき多くの人が、
「前の現場では言われなかった」
「短時間だから大丈夫だろう」
と判断してしまいます。
しかし実際には、道路使用許可の有無は現場判断ミスが最もトラブルになりやすいポイントです。
- 当日、警察から作業中止を求められる
- 近隣から通報され、現場が止まる
- 元請・施主から管理不足を指摘される
こうした事態は、工事規模の大小に関係なく起こります。
この記事では、
「どんな工事・作業が道路使用許可の対象になるのか」
「迷ったときにどう考えればいいのか」
を、足場・クレーン・資材搬入といった具体例を使って整理します。
Contents
- 1 はじめに|「これ、許可いる?」で止まらないために
- 2 この記事でわかること
- 3 道路使用許可とは何か|まず押さえる基本
- 4 道路占用許可との違いは必ず整理する
- 5 道路使用許可が必要かどうかの考え方(超重要)
- 6 まず覚えておきたい典型パターン
- 7 工事・作業別|道路使用許可が必要/不要の具体例
- 8 足場工事|一番トラブルが多いパターン
- 9 クレーン・高所作業車|「置いただけ」では済まない
- 10 資材搬入・荷下ろし|「一時的」が一番危ない
- 11 作業車両の一時停止・路上駐車はどこまでOK?
- 12 ここまでの整理
- 13 よくある勘違い|道路使用許可で現場が止まる典型例
- 14 実際に起きやすいトラブル事例
- 15 迷ったらどうする?判断のための思考フロー
- 16 警察署への事前相談|やるべき理由と実務
- 17 「相談=必ず申請」ではない
- 18 Part3のまとめ
- 19 業種別|道路使用許可で特に注意したいポイント
- 20 実務で使える|道路使用許可チェックリスト
- 21 迷ったらどうするべきか|現場での最適解
- 22 まとめ|道路使用許可は“影響ベース”で考える
- 23 CTA|現場トラブルを防ぐために
この記事でわかること
この記事を最後まで読むと、次の点が整理できます。
- 道路使用許可の基本的な考え方
- 道路占用許可との違い
- 足場・クレーン・資材搬入での判断基準
- 許可が必要になりやすい典型パターン
- 現場で判断を誤りやすいポイント
「何となく不安」な状態から、
自分で判断できる状態になることが目的です。
道路使用許可とは何か|まず押さえる基本
道路使用許可の前提となる考え方
道路使用許可とは、簡単に言うと
道路本来の目的(通行)以外の使い方をする場合に必要な許可です。
道路は、
- 歩行者が安全に通る
- 車両が円滑に通行する
ためのものです。
この通行に対して、影響を与える行為を行う場合、原則として許可が必要になります。
「道路を使っている」という感覚はあてにならない
現場でよくあるのが、次のような認識です。
- 「作業しているのは敷地内」
- 「道路に物を置いているわけではない」
しかし警察が見るのは、
作業の結果として通行に影響が出るかどうかです。
たとえば、
- 作業員が道路に出て作業する
- 作業車両が道路上に停止する
- 歩行者が車道側に避けなければならない
こうした状況があれば、
「道路を使用している」と判断されます。
道路占用許可との違いは必ず整理する
道路使用許可と並んでよく出てくるのが、道路占用許可です。
この2つは目的も管轄も違います。
| 項目 | 道路使用許可 | 道路占用許可 |
|---|---|---|
| 管轄 | 警察 | 道路管理者 |
| 対象 | 作業・行為 | 構造物・設置物 |
| 期間 | 一時的 | 比較的長期 |
たとえば足場工事では、
- 足場を道路上に設置する
- 一定期間、道路の一部を使う
この場合、
道路使用許可と道路占用許可の両方が必要になるケースがあります。
どちらか一方だけ取っていても、
もう一方が抜けていると問題になります。
道路使用許可が必要かどうかの考え方(超重要)
ここからが一番大事な部分です。
判断基準は「作業内容」ではない
よくある間違いがこれです。
- 足場工事だから必要
- 内装工事だから不要
これは正しくありません。
同じ足場工事でも、
- 敷地内で完結 → 不要な場合あり
- 歩道に張り出す → 必要
になります。
判断の軸は「通行への影響」
考えるべきポイントは、次の1点です。
その作業によって、人や車の通行に影響が出るか。
具体的には、
- 通行スペースが狭くなる
- 歩行者が遠回り・車道側に出る
- 車両が減速・停止を強いられる
このいずれかが起きるなら、
道路使用許可が必要になる可能性が高くなります。
「短時間だから」は理由にならない
現場で非常によく聞くのが、
- 「5分だけだから」
- 「朝の一瞬だけ」
という判断です。
しかし、
時間の長さは判断基準になりません。
たとえ数分でも、
- 歩道を塞ぐ
- 車道を占有する
のであれば、許可対象になります。
まず覚えておきたい典型パターン
ここまでを踏まえると、
道路使用許可が必要になりやすいのは次のようなケースです。
- 道路上に足場・機材を設置する
- 作業車両を道路に停止させて作業する
- 資材を道路に仮置きする
- 作業員が道路上で作業する
逆に、
- 完全に敷地内で完結
- 通行に一切影響しない
この条件を満たす場合は、不要になることもあります。
工事・作業別|道路使用許可が必要/不要の具体例
ここからは、現場で最も判断に迷いやすい
足場・クレーン・資材搬入を中心に、
「どこからが道路使用許可の対象になるのか」を具体例で整理します。
足場工事|一番トラブルが多いパターン
足場工事は、道路使用許可に関する相談の中でも特に多く、
判断ミスがそのまま是正指導につながりやすい作業です。
道路使用許可が必要になる代表例
次のいずれかに当てはまる場合、原則として道路使用許可が必要になります。
- 足場の支柱・控えが歩道や車道に出る
- 養生シートやネットが道路側にかかる
- 足場の組立・解体を道路上で行う
- 作業員が道路に立って作業する
重要なのは、完成後の状態だけで判断しないことです。
「完成後は敷地内」でも油断できない理由
現場でよくあるのが、次のケースです。
- 足場完成後は敷地内に収まっている
- しかし組立・解体時は道路を使う
この場合でも、
作業工程の中で道路を使っていれば対象になります。
警察は「結果」ではなく、
作業の過程も含めて判断します。
許可が不要になりやすい足場工事の条件
次の条件をすべて満たす場合、
道路使用許可が不要になる可能性があります。
- 足場が完全に敷地内
- 組立・解体も敷地内で完結
- 作業員が道路に出ない
- 歩行者・車両の通行に影響しない
ただし、
敷地が狭い住宅地では成立しにくい条件でもあります。
クレーン・高所作業車|「置いただけ」では済まない



クレーンや高所作業車は、
「作業自体は敷地内だから大丈夫」と判断されがちですが、
実際には道路使用許可が必要になるケースが非常に多い作業です。
クレーン作業で許可が必要になるケース
- クレーン車を道路上に設置する
- アウトリガーが道路にかかる
- 吊り荷が道路上を通過する
- 交通規制(片側交互通行など)が必要
特に注意したいのが、アウトリガーです。
数センチでも道路に出ていれば、
道路を使用していると判断されます。
「作業は敷地内」でもNGになる典型例
次のような状況は非常によくあります。
- クレーン車:道路上
- 吊り作業:敷地内
この場合でも、
クレーン車の設置行為自体が道路使用に該当します。
高所作業車も基本は同じ考え方
高所作業車も、判断軸はクレーンと同じです。
- 車両を道路に設置する
- ブームが道路上に張り出す
- 作業中に通行へ影響が出る
これらがあれば、道路使用許可の対象になります。
資材搬入・荷下ろし|「一時的」が一番危ない

資材搬入は、
「短時間だから問題ないだろう」と判断されやすい反面、
通報・指導が入りやすい作業でもあります。
許可が必要になる典型パターン
- 資材を道路上に仮置きする
- トラックを道路に停車させて荷下ろしする
- 歩道を塞ぐ形で作業する
- 誘導員が必要な状況になる
特に注意したいのは、
歩行者が車道側に出ざるを得ない状況です。
この時点で、通行への影響が発生しています。
「5分だけ」は判断理由にならない
資材搬入でよくあるのが、
- 朝一の5分
- 1回だけの搬入
といったケースです。
しかし、
時間の長さは判断基準ではありません。
結果として、
- 通行が妨げられる
- 安全が確保できない
のであれば、短時間でも対象になります。
許可が不要になりやすい搬入条件
次の条件をすべて満たす場合は、
不要になる可能性があります。
- 敷地内にトラックを入れられる
- 資材を道路に置かない
- 通行に影響しない
ただし、
現地状況による判断差が最も出やすい分野でもあります。
作業車両の一時停止・路上駐車はどこまでOK?
「停めているだけ」という感覚は、
道路使用許可の判断では通用しません。
単なる駐車ではなくなるライン
次の行為が加わると、
「作業を伴う道路使用」と判断されやすくなります。
- 荷台を開けたまま作業する
- 工具・機材を道路側に広げる
- 作業員が頻繁に乗り降りする
つまり、
駐車か作業かが分かれ目になります。
ここまでの整理
- 足場は「完成形」ではなく「工程」で判断
- クレーンは設置した時点で対象になりやすい
- 資材搬入は短時間でも油断できない
- すべて共通する軸は「通行への影響」
よくある勘違い|道路使用許可で現場が止まる典型例
ここまで理解していても、
実際の現場では思い込みや確認不足でトラブルが起きがちです。
ここでは、特に多い勘違いを整理します。
勘違い①「前の現場では大丈夫だった」
これは非常によくあります。
- 同じ工事内容
- 同じ規模
- 同じような道路状況
それでも、前はOK・今回はNGというケースは珍しくありません。
理由は単純で、
- 管轄の警察署が違う
- 交通量や時間帯が違う
- 周辺環境(学校・病院など)が違う
からです。
道路使用許可は、
現場ごとの個別判断が前提になります。
勘違い②「元請が全部取っているはず」
元請が許可を取っていると思い込んで、
下請側の作業内容が抜けているケースも多発します。
よくあるのが、
- 元請:道路占用許可のみ取得
- 下請:足場の組立・解体で道路使用
この場合、
作業単位で見れば無許可になります。
許可は「現場一式」ではなく、
誰が・何を・どこでやるかで判断されます。
勘違い③「注意されたことがない=問題ない」
これも危険な考え方です。
- 今まで何も言われなかった
- 近隣からも苦情がなかった
これは、
たまたま問題化していなかっただけです。
通報・指導は、
- タイミング
- 通行量
- 第三者の目
で突然入ります。
実際に起きやすいトラブル事例
ここでは、現場で起きやすい具体的な流れを整理します。
ケース① 作業当日に警察が来て中止
- 足場の組立を開始
- 歩道を一時的に塞ぐ
- 通行人から通報
- 警察が来て「許可は?」
- 未取得 → 作業中止
この場合、
- 当日は作業できない
- 再度段取りを組み直す
- 近隣への印象が悪化
と、ダメージが大きくなります。
ケース② 近隣トラブルから元請へ連絡
- 資材搬入で歩道を塞ぐ
- ベビーカーや高齢者が通れない
- 近隣が元請へ直接連絡
結果として、
- 「管理が甘い」と評価される
- 次回以降の受注に影響
することもあります。
迷ったらどうする?判断のための思考フロー
現場で迷ったときは、
次の順番で考えると整理しやすくなります。
ステップ1:道路に何か出るか
- 人
- 車両
- 機材
- 資材
このいずれかが道路に出るかを確認します。
ステップ2:通行に影響が出るか
- 歩行者が避ける必要がある
- 車両が減速・停止する
- 視界が遮られる
ここで影響が出るなら、
道路使用許可が必要になる可能性が高くなります。
ステップ3:一時的かどうかは考えない
この段階では、
- 何分か
- 何回か
は考えません。
影響が出るかどうかだけを見ます。
警察署への事前相談|やるべき理由と実務

道路使用許可で最も確実なのは、
事前に警察署へ相談することです。
事前相談のメリット
- 必要・不要をはっきりさせられる
- 当日のトラブルを防げる
- 条件付きで認められるケースもある
「申請が必要かどうか」だけでも、
相談する価値は十分あります。
相談時に見られるポイント
警察が確認するのは、主に次の点です。
- 作業場所(住所・地図)
- 作業内容
- 作業時間帯
- 交通への影響
- 誘導員の有無
口頭説明だけより、図面や写真がある方が確実です。
申請が必要と言われた場合
必要と判断された場合は、
- 申請書
- 現場図
- 工程・時間
- 交通整理計画
などを準備します。
直前では対応できないこともあるため、
余裕を持った段取りが重要です。
「相談=必ず申請」ではない
誤解されがちですが、
- 相談したら必ず申請になる
- 目をつけられる
ということはありません。
むしろ、
- 状況次第で不要と判断される
- 条件付きで対応可能になる
ケースもあります。
Part3のまとめ
- 勘違いがトラブルの最大原因
- 判断は現場ごとに変わる
- 迷ったら思考フローで整理
- 事前相談が最も安全
業種別|道路使用許可で特に注意したいポイント
同じ作業内容でも、業種によって注意点は少しずつ変わります。
ここでは、現場で特に問い合わせが多い業種を整理します。
内装工事・リフォーム工事
内装工事は「建物の中だけ」と思われがちですが、
次の点で道路使用許可が関係してきます。
- 資材搬入時に道路で荷下ろしする
- 廃材を道路側に一時的に置く
- 作業車両を道路に停めて作業する
特に住宅地では、
搬入・搬出の一瞬が問題になりやすいため注意が必要です。
設備工事(空調・給排水・電気)
設備工事では、次のケースが多く見られます。
- 高所作業車を道路に設置
- クレーンで室外機を吊り上げ
- 作業時間が交通量の多い時間帯
「設置は敷地内」でも、
車両の設置場所が道路なら対象になります。
外構・解体工事
外構・解体工事は、
道路使用許可が必要になる要素が重なりやすい業種です。
- 足場
- 重機
- 資材・廃材の搬出入
最初から
許可が必要になる前提で段取りを組む方が安全です。
実務で使える|道路使用許可チェックリスト
現場に入る前に、
次のチェックを一度行ってください。
チェック① 道路に出るものはないか
- 作業員
- 車両
- 足場・重機
- 資材・廃材
ひとつでも「出る」なら要注意です。
チェック② 通行への影響はあるか
- 歩行者が避ける必要がある
- ベビーカー・車椅子が通りにくい
- 車両が減速・停止する
影響が出るなら、
道路使用許可の対象になる可能性が高くなります。
チェック③ 工程の中で道路を使っていないか
- 組立・解体時
- 搬入・搬出時
- 一時的な仮置き
完成後だけ見ないのがポイントです。
チェック④ 元請・他業者の許可範囲を確認したか
- 誰が
- どの作業について
- どの範囲で
許可を取っているかを、必ず確認します。
迷ったらどうするべきか|現場での最適解
結論はシンプルです。
迷ったら、事前に警察署へ相談する
これが、
最も手間が少なく、トラブルを防げる方法です。
- 不要と判断されることもある
- 条件付きで対応できることもある
- 当日の中止リスクを避けられる
「聞くだけ」でも問題ありません。
むらた事務所では、こういった相談を無料で受けることが可能です。
まずはご相談ください。
まとめ|道路使用許可は“影響ベース”で考える
最後に、この記事の要点をまとめます。
- 道路使用許可の判断軸は「通行への影響」
- 作業内容や時間の長さでは決まらない
- 足場・クレーン・資材搬入は特に注意
- 工程の中で道路を使えば対象になる
- 迷ったら事前相談が最善
道路使用許可は、
知っているかどうかで現場の安定度が大きく変わる知識です。
「たぶん大丈夫」で進めず、
一度立ち止まって確認する習慣が、
結果的に現場を一番スムーズにします。
CTA|現場トラブルを防ぐために
- 着工前に一度、道路使用の有無を整理する
- 元請・下請で許可範囲を共有する
- 不安なときは警察署に相談する
この3点を徹底するだけで、
現場トラブルの多くは防げます。


