行政書士試験|取消訴訟と原告適格を「判断の順番」で攻略する完全ガイド

はじめに:行政法で失点する人は「知識」より「順番」で止まる

取消訴訟と原告適格は、行政書士試験の行政法で頻出です。
しかも、ひっかけが効きやすい。

なぜかというと、ここは暗記量で勝負する分野ではなく、
**判断の順番(思考の流れ)**を外した瞬間に崩れる分野だからです。

たとえば過去問や模試で、こんな状態になったことはないでしょうか。

  • 「処分っぽい」けど、取消訴訟で争えるのか分からない
  • 名宛人じゃない第三者が出てきて、原告適格で思考停止する
  • 「法律上の利益」って結局なんなのか、毎回あいまいになる

この記事では、取消訴訟と原告適格を、
**その場で使える“判断の構造”**として整理します。

ポイントは3つです。

  1. 取消訴訟は「入口」から順に並べる
  2. 原告適格は「法令の保護範囲」を読む
  3. 判例は“結論暗記”ではなく“理由パーツ”で使う

この記事を読み終える頃には、
選択肢の文言に引っ張られず、同じ順番で判断できる状態を目指します。


Contents


Part1:取消訴訟の全体像を「入口から逆算」する

1. 取消訴訟で出題者が見ているのは「要件の順番」

取消訴訟は、行政事件訴訟法で定められた訴訟類型です。
試験で問われるのは、制度の細かい条文暗記というより、

この事案で、取消訴訟というルートに乗るかどうか

です。

そのため、出題者は受験生に対して、要件をバラバラに聞くというより、
「順番を守れているか」を見ています。

取消訴訟で、まず押さえるべきは、対象です。

取消訴訟の対象は、

  • 行政庁の
  • 公権力の行使としての
  • 処分

です。

ここで詰まる人が多いのが「処分性」ですが、この記事は取消訴訟と原告適格が主役なので、処分性は必要最小限に絞って整理します。
処分性に関しては以下の記事を参考ください。

行政書士試験・行政法|処分性で失点する人の共通点と正しい判断構造

行政書士試験の行政法で、多くの受験生が「分かったつもり」になり、そして本試験で失点しやすい論点があります。 それが、処分性です。 処分性は、定義自体はそれほど難…


2. まず処分性:争える“行為”かどうか

処分性とは、

その行政庁の行為を、裁判で直接争えるか

を判断する概念です。

定義はよく出ます。

行政庁の行為が、国民の権利義務または法律上の地位に対し、直接具体的な法的効果を及ぼすもの。

ここで試験に効くのは、定義丸暗記ではなく、分解です。

  • 法的効果があるか
  • その効果が直接か(他の判断を待たないか)
  • その効果が具体か

特に「直接性」が結論を分けます。

前段階行為(調査、内部審査、方針決定など)や行政指導(勧告、要請など)が原則として非処分なのは、
まだ法的地位が確定的に変わっていないからです。

※ここを詳しく知りたい人は、別途上記の「処分性まとめ記事」に戻ってもいいですが、ここでは「処分性がないなら取消訴訟の入口に立てない」という一点だけ、強く押さえてください。


3. 次に原告適格:争える“人”かどうか

処分性が「争える行為か」なら、原告適格は「争える人か」です。

取消訴訟を提起できるのは、当該処分について

法律上の利益を有する者

です。

これが原告適格です。

ここで大事なのは、処分性と原告適格を混ぜないこと。

  • 処分性:その行為は取消訴訟の対象か
  • 原告適格:その人は訴えを起こせる立場か

試験では、この2つをごちゃ混ぜにして誤らせる選択肢がよく出ます。
今後もそういった似た論点での出題は必ず出てきますので、しっかり判断できるようになりましょう。


4. さらに訴えの利益:今、取り消す意味があるか

原告適格の次に、よく絡むのが訴えの利益です。

ここでいう訴えの利益は、

その処分を取り消すことにより、原告の権利利益の救済が現実に可能か

という観点です。

たとえば期間が過ぎて、取り消しても意味がない場合などは、
処分性・原告適格があっても、訴えの利益が否定されうる。

行政書士試験は、ここまで深く出ない年もありますが、
原告適格とセットで「順番」を問う形で出されることがあります。

なので、思考の骨格としてはこの並びで覚えてください。

  1. 処分性(行為)
  2. 原告適格(人)
  3. 訴えの利益(今取り消す意味)

Part1まとめ:取消訴訟は「行為→人→意味」の順

ここまでの要点はシンプルです。

  • 取消訴訟は処分が対象
  • まず処分性(行為)
  • 次に原告適格(人)
  • 最後に訴えの利益(意味)

この順番を守れるだけで、
「知識はあるのに毎回迷う」状態はかなり減ります。

次のPart2から、原告適格を本格的に掘ります。


Part2:原告適格の核心は「法令の保護範囲」を読むこと

1. 原告適格で止まる最大原因:「不利益=訴えられる」と思っている

原告適格は、つい感覚で判断したくなる分野です。

  • 生活に影響がある
  • 迷惑を受けた
  • 損害が出た

でも、これだけでは足りません。

原告適格で見ているのは、被害の大きさではなく、

法令がその利益を守る趣旨を持っているか

です。

ここを外すと、文章の雰囲気に引っ張られてしまい、あれどうだったっけな?からの失点をしてしまいます。


2. 「法律上の利益」と「事実上の不利益」を切り分ける

原告適格の言葉である「法律上の利益」は、ざっくり言えば、

法令が個別具体的に保護している利益

です。

逆に、事実上の不利益は、

結果として損をした・困った、というだけの不利益

です。

試験ではこの混同を確実に狙ってきます。

だから、迷ったらこう自問してください。

  • それは法律が守ると書いてある利益か?
  • それとも、結果として起きた不利益にすぎないか?

3. 原告適格の判断手順(これを固定する)

原告適格は、毎回この順番で処理してください。

Step1:問題の処分を特定する

免許取消なのか、許可なのか、命令なのか。まず処分を固定します。

Step2:根拠法令・関連法令を確認する

処分の根拠条文、その周辺条文(目的規定、要件、手続、保護対象が出る部分)を見ます。

Step3:法令の趣旨を読む

その規制は何のためか。
公益目的だけか、周辺住民など特定人の利益保護も含むか。

Step4:原告が保護範囲に入るか

原告の立場(周辺住民、競争業者、利用者など)が、保護対象として想定されているかをあてはめます。

この手順で考えると、「それっぽい」文章に惑わされにくくなります。


4. 名宛人は原則OK、でも試験の主戦場は「第三者」

処分の名宛人(許可を取り消された本人など)は、原則として原告適格があります。
ここはわかりやすいので試験でも落としにくい。

行政書士試験で差がつくのは、第三者です。

  • 周辺住民
  • 競争業者
  • 利害関係人
  • 利用者

この第三者が原告になれるかどうかを、法令の趣旨から判断するのが得点ポイントです。


5. 第三者原告適格でよくあるパターン整理

(1)周辺住民:環境・安全・健康を守る趣旨があるか

周辺住民は、距離だけで決まりません。
距離は事実として重要になり得ますが、本質は、

規制が周辺住民の生活環境・安全・健康を守る趣旨を含むか

です。

この趣旨があれば、第三者にも原告適格が認められる可能性が出ます。

(2)競争業者:原則は厳しめ

「近くに新規参入されたら売上が落ちる」
これは典型的に事実上の不利益に寄りやすい。

ただし、法令が競争業者の利益を保護する趣旨を持つような作りなら別ですが、
多くの場合は公益的規制(秩序維持等)として整理され、競争業者の原告適格は否定方向になりやすい、という感覚を持っておくと試験で迷いにくいです。

(3)利用者:安全確保などに直結するか

利用者は、
交通・医療・安全など「利用者の生命身体に近い」類型だと、
保護の趣旨が見えやすいことがあります。


Part2まとめ:原告適格は「法令→趣旨→保護範囲」

ここまでの結論はこれです。

  • 原告適格は「法律上の利益」
  • 事実上の不利益では足りない
  • 判断は「法令の趣旨」と「保護範囲」
  • 迷ったら手順に戻る

次のPart3では、試験で必要な範囲で「判例の使い方」と「罠」を整理して、選択肢を落とす形に落とし込みます。


Part3:判例は「結論」ではなく「理由の型」で使う

1. 判例学習で失敗しやすいポイント

原告適格の判例は多いです。
ただ、行政書士試験で必要なのは、判例名の暗記大会ではありません。

判例の使い方は、次の3点に絞ると効率がいいです。

  1. その処分の根拠法令は何か
  2. 法令の目的・趣旨はどう読まれたか
  3. 原告の利益は保護範囲に入るとされたか

この「理由」の部分を自分の言葉で説明できれば、
判例名を忘れても問題が解けます。


2. 出題者が原告適格で仕掛ける罠

原告適格での罠はだいたい固定です。

罠1:被害の深刻さを強調してくる

「生活が破壊される」「重大な損害」など、感情に寄せてくる。
でも基準は被害の大きさではなく、法令の保護範囲です。

罠2:人数の多さを強調してくる

「多数の住民が影響」
これも関係ないとは言いませんが、決定打ではありません。
保護対象として想定された集団かどうかが重要です。

罠3:近い・遠いを決め手にさせる

距離は“あてはめ要素”にはなります。
ただし距離だけで結論を決めるのではなく、
法令の趣旨がまず先です。

罠4:処分性と混ぜてくる

「争えるか」の話(処分性)と、「誰が争えるか」(原告適格)を混ぜる選択肢が多い。
きちんと順番を追えば落としません。


3. 取消訴訟の問題は「分岐図」で解く

試験中に迷ったら、頭の中で分岐してください。

  1. その行為は処分か?
     - YES → 2へ
     - NO → 取消訴訟は使えない(他の救済へ)
  2. その人は法律上の利益があるか?
     - 名宛人 → 原則YES
     - 第三者 → 法令の趣旨・保護範囲で判断
  3. 取り消す意味が今あるか?(訴えの利益)
     - 期間経過などで意味が消える場合もある

この分岐を固定すると、文章が長い事案でも、迷い方が変わります。
最初は時間がかかっても大丈夫です。繰り返し問題を解いていると、どんどんスピードがあがっていくものです。


4. 具体的に選択肢を落とす“チェックリスト”

最後に、試験でそのまま使えるチェックを置きます。
問題文・選択肢を読んだら、次を順に確認します。

処分性チェック

  • その時点で法的効果が確定しているか
  • 他の判断を待つのか(前段階なら非処分方向)
  • 行政指導っぽい言葉(勧告・要請)なら法的拘束力があるか

原告適格チェック

  • 原告は名宛人か、第三者か
  • 根拠法令・関連法令に、特定人保護の趣旨が読めるか
  • 守ろうとしているのは公益だけか、生活環境・安全なども含むか
  • 原告の立場は、その保護範囲に入るか

ここまで確認して、最後に「処分性がないなら取消訴訟は起こせない」を思い出す。
これだけで、原告適格での失点はかなり抑えられます。


おすすめテキスト

  • 行政事件訴訟法の取消訴訟部分(要件の順番を条文レベルで確認)
  • 原告適格の判例解説が「理由」で書かれている教材(結論暗記型は避ける)
  • 過去問は、正誤より先に「なぜこの人が保護範囲に入る/入らないのか」を説明する練習に使う

まとめ:取消訴訟と原告適格は「順番」と「趣旨」で決まる

最後にこの記事の結論です。

  • 取消訴訟は、処分が対象
  • 判断は「処分性→原告適格→訴えの利益」の順
  • 原告適格は「法令の保護範囲」
  • 判例は結論暗記ではなく、理由をパーツ化して使う

ここが一本につながると、
行政法の中でも取消訴訟・原告適格は安定して得点できる領域になります。


CTA(行動につなげる)

このテーマは、読むだけだと定着しにくいので、
次にやることはシンプルに1つだけ。

過去問を1問選び、処分性→原告適格の順に、根拠法令の趣旨を言葉にする。
それができれば、点に見えていた知識が線になります。
さぁ頑張っていきましょう!

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