行政書士試験の民法1条・90条を徹底整理
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違い・使い分け・過去問対策まで
行政書士試験の民法では、「民法1条なのか、90条なのか」で迷う受験生が少なくありません。どちらも一般条項として重要ですが、条文の趣旨や使われ方は大きく異なります。違いを曖昧なままにしていると、択一式で判断を誤ったり、記述式で理由付けができなかったりする原因になります。
民法1条と90条は、暗記で対応する条文ではありません。「どの場面で、どの条文を使うのか」という判断基準を持つことが、行政書士試験では重要です。この記事では、民法1条・90条を試験対策の視点から整理し、迷わず使い分けられる考え方を解説しま
行政書士試験で民法1条と90条が重要視される理由
民法1条と90条は、どちらも具体的な要件を細かく定めた条文ではありません。抽象的な文言で規定されているため、事案に応じて柔軟に使われます。この「抽象性」こそが、行政書士試験で頻出となる理由です。
民法1条・90条はいずれも「一般条項」である
一般条項とは、個別具体的なケースを想定せず、広い価値判断を示した条文を指します。民法1条は、権利行使や義務履行の在り方そのものを規律し、民法全体に影響を与える基本原則です。
一方、民法90条は、契約などの法律行為の内容が社会秩序に反するかどうかを判断する基準となります。どちらも「条文をそのまま当てはめる」のではなく、事案との関係で意味を考える必要があります。
一般条項が試験で狙われやすい背景
行政書士試験では、単純な条文暗記よりも、法的思考力を測る問題が出題されます。一般条項は、事案をどう評価するか、どの価値を重視するかといった判断が必要になるため、出題者側にとって使いやすい論点です。
特に民法1条と90条は、過去問でも繰り返し形を変えて出題されています。
理解が曖昧だと失点につながりやすい理由
民法1条と90条を混同していると、条文選択を誤ったり、正しい結論でも理由付けがずれたりして失点が起こりやすくなります。択一式では一見どちらも当てはまりそうな選択肢が並び、記述式では評価軸の違いが問われます。
そのため、両条文の役割を明確に区別して理解することが、得点安定の第一歩になります。
民法1条の基本構造を押さえると試験対応が楽になる
民法1条は、3つの項目から構成されており、それぞれ役割が異なります。この構造を整理して理解しておくと、問題文を読んだときに「どの視点で考えるべきか」が見えやすくなります。
民法1条1項「公共の福祉」の位置付け
民法1条1項は、「私権は、公共の福祉に適合しなければならない」と定めています。これは、個人の権利であっても無制限に認められるわけではないという価値判断を示した規定です。
行政書士試験では、1項そのものが直接適用される場面は多くありません。むしろ、民法全体の解釈指針として、後の2項・3項や個別規定を支える位置付けで理解することが重要です。
民法1条2項「信義誠実の原則」の考え方
信義誠実の原則は、権利の行使や義務の履行を「信義に従い誠実に行うべき」とする原則です。試験では、形式的には権利行使が可能でも、当事者の行動が不誠実と評価される場面で問題になります。
行為の内容そのものよりも、当事者の態度や経過に着目するのが信義則の特徴です。
民法1条3項「権利濫用禁止」の判断基準
権利濫用とは、形式的には権利行使に見えても、社会的に許容できない場合を指します。信義則と近い概念ですが、権利濫用では「権利の使い方そのもの」が問題になります。
行政書士試験では、権利行使の目的、相手方への影響、行為の必要性といった点から、権利行使が行き過ぎていないかを判断させる問題が出題されます。
民法90条(公序良俗)の本質を試験向けに整理する
民法90条は、「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は無効」と定めています。民法1条が行為の態様や当事者の振る舞いを評価するのに対し、90条は法律行為の内容そのものを評価対象とする点が特徴です。
民法90条が問題になる典型的な場面
民法90条は、契約や合意の内容が社会的に許されるかどうかが問題となる場面で登場します。当事者が合意している場合でも、その内容が社会秩序に反すると判断されれば、法律行為自体が無効になります。
公序良俗違反と判断されやすい契約類型
行政書士試験では、判例で確立した典型例がよく使われます。代表的なものとして、暴利行為や著しく不公平な契約、犯罪行為や不正行為を助長する契約、人格権や人権を侵害する内容の合意などがあります。
行政書士試験で頻出の民法90条判例の扱い方
民法90条の判例は数が多く、すべてを暗記する必要はありません。重要なのは、「なぜ公序良俗違反とされたのか」という評価軸を理解することです。
判例の事実関係を細かく覚えるより、どの価値が侵害されたのか、社会的相当性が否定された理由を押さえることで、初見の問題にも対応しやすくなります。
民法1条と90条の決定的な違いが分かる比較視点
民法1条と90条は、どちらも抽象的な条文ですが、評価対象と役割は明確に異なります。この違いを意識できるかどうかが、行政書士試験での得点力に直結します。
「行為の態様」と「内容」のどちらを見るか
民法1条は、権利行使や義務履行の「態様」を評価する条文です。当事者がどのような経緯で、どのような姿勢で行動したかが問題になります。
一方、民法90条は、法律行為の「内容」そのものを評価します。当事者の事情よりも、契約内容が社会的に許されるかどうかが判断の中心です。
信義則・権利濫用と公序良俗の使い分け
信義則や権利濫用は、形式的には可能な権利行使でも、その使い方が不適切な場合に問題になります。つまり「やり方が問題」になるケースです。
これに対し、公序良俗は「そもそもその約束を認めてよいのか」という段階で問題になります。約束の内容自体が社会秩序に反する場合は、当事者の合意があっても無効です。
試験で迷ったときのシンプルな判断フレーム
本試験で迷ったときは、次の問いで切り分けてください。行為のやり方や態度が問題なら民法1条、契約や合意の内容自体が問題なら民法90条です。このフレームを持つだけで、判断はかなり安定します。
過去問から読み解く民法1条・90条の出題パターン
民法1条と90条は、過去問を見ると出題のされ方に一定の傾向があります。傾向を知っておくことで、初見問題でも落ち着いて対応しやすくなります。
民法1条が問われやすい問題の特徴
民法1条は、事案の流れや当事者の行動経過が丁寧に書かれている問題で使われやすい傾向があります。長期間の取引関係がある、相手方の信頼を前提とした行動がある、権利行使が突然・一方的に行われている、といったケースが典型です。
民法90条が問われやすい問題の特徴
民法90条は、契約内容や合意の中身に強い違和感がある問題で使われます。常識的に見て一方当事者が極端に不利な内容や、社会的に問題のある約束が設定されているケースでは、90条を疑うのが基本です。
条文選択を誤らせる引っかけパターン
引っかけは、当事者の態度も悪く、内容も問題がありそうなケースです。その場合でも、まず「どちらが主な問題か」を切り分けて考えます。主眼が行為態様にあるなら1条、内容そのものなら90条という基本に戻すことで、誤りを防ぎやすくなります。
行政書士試験で民法1条・90条を得点につなげる学習法
民法1条・90条は、理解しているつもりでも、試験になると使えないという声が多い条文です。ここでは、知識を得点に変えるための学習法を整理します。
条文・判例をセットで覚える最短ルート
一般条項は条文だけだとイメージが湧きにくいため、条文と代表判例をセットで確認するのが効果的です。結論の暗記ではなく、「何が問題視されたのか」「なぜその条文が使われたのか」を一言で言える状態を目指してください。
暗記で終わらせないための確認ポイント
「この事案なら1条か90条か」を自分で判断できるかを確認します。評価対象が行為態様か、内容そのものかを常に意識して演習すると、理解が定着します。
記述式で部分点を狙うための考え方
記述式では、条文番号まで正確に書けなくても、評価軸が合っていれば部分点が期待できます。民法1条なら信義違反や権利濫用、90条なら社会秩序に反する内容であることを簡潔に指摘できるようにしておくと有利です。
まとめ|行政書士試験における民法1条・90条の考え方
行政書士試験において、民法1条と90条は「覚えているかどうか」よりも、正しく使い分けられるかどうかが問われる条文です。どちらも一般条項であり、事案の読み取りと評価軸の選択が重要になります。
- 民法1条は「行為の態様」や当事者の振る舞いを評価する
- 民法90条は「契約・法律行為の内容そのもの」を評価する
- 迷ったら「やり方が問題か」「内容が問題か」で切り分ける
- 判例は暗記ではなく、評価理由を理解する
- 判断フレームを持てば一般条項は得点源にできる
民法1条・90条は、範囲が広い民法の中でも比較的コンパクトに対策できる分野です。「なぜこの条文が使われるのか」を意識しながら過去問演習や記述対策に取り組んでみてください。


