行政書士試験|国家賠償法3条〜6条を基礎から整理【条文・趣旨・出題ポイント】
はじめに
行政書士試験の行政法分野の中でも、国家賠償法3条〜6条は
「条文は短いのに、意味がつかみにくい」
そんな印象を持たれやすい部分です。
1条はよく出題され、解説も多い一方で、
3条以降は
- とりあえず読んでいるだけ
- どの場面で使われるのか分からない
- 出題されたら運任せ
という状態になりがちです。
この記事では、暗記ではなく理解を目的として、
国家賠償法3条〜6条を
**「全体構造 → 各条文の意味」**の順で整理していきます。
私の予想だと、このあたりも今年の試験あたりから聞かれてくると思っています。
この記事はこんな人向け
- 国家賠償法1条は理解している
- 3条〜6条が頭の中でつながっていない
- 条文の背景や立法趣旨から理解したい
- 行政書士試験で安定して点を取りたい
Contents
- 1 はじめに
- 2 この記事はこんな人向け
- 3 国家賠償法3条〜6条の全体像を先に押さえる
- 4 国家賠償法3条とは何を定めた条文か
- 5 国家賠償法4条への橋渡し
- 6 まとめ(第1回)
- 7 国家賠償法4条の位置づけを先に整理する
- 8 国家賠償法4条の基本ルール
- 9 なぜ公務員個人に直接請求できないのか
- 10 行政書士試験で頻出の誤解
- 11 「求償」という考え方(4条後段)
- 12 どんな場合に求償が問題になるか
- 13 条文ごとの「関係性」を整理する
- 14 学習でつまずきやすいポイント
- 15 まとめ(第2回)
- 16 国家賠償法5条の位置づけ
- 17 国家賠償法5条の基本構造
- 18 なぜ裁判官だけ特別扱いされるのか
- 19 行政書士試験での重要ポイント
- 20 「裁判官の職務行為」とは何か
- 21 1条・4条・5条の違いを整理する
- 22 学習上の注意点(5条)
- 23 まとめ(第3回)
- 24 国家賠償法6条の位置づけ
- 25 国家賠償法6条の基本的な意味
- 26 なぜ6条が必要なのか
- 27 行政書士試験での6条の扱い
- 28 ありがちな誤解(6条)
- 29 ここまでの総整理(3条〜6条)
- 30 1条との関係を最終確認
- 31 行政書士試験での使い方(実戦編)
- 32 おすすめ勉強法(条文がつながる)
- 33 まとめ(最終)
- 34 CTA(行動導線)
国家賠償法3条〜6条の全体像を先に押さえる
まず大前提として、
**国家賠償法3条〜6条は「例外処理・調整規定」**です。
条文役割3条公共団体相互の責任調整4条公務員個人の求償5条裁判官の特則6条他法令との関係整理
👉 1条の責任原則を前提に、細かいズレを調整する条文群
と理解すると、位置づけが一気に明確になります。
国家賠償法3条とは何を定めた条文か
条文のポイント(要旨)
国家賠償法3条は、
国と公共団体、または公共団体同士の間で、
どちらが最終的に負担するかを定めています。
ここで重要なのは、
👉 被害者救済の条文ではない
という点です。
なぜ3条が必要なのか
1条では、被害者に対する責任主体が定められています。
しかし実務上は、
- 国の職員が市町村の事務を行う
- 市町村の職員が国の事務を行う
といった 入り組んだ行政構造 が存在します。
このとき、
「最終的に誰が負担するのか」
を決めないと、
行政内部で責任の押し付け合いが起きてしまいます。
そこで登場するのが3条です。
行政書士試験での押さえ方(3条)
- 被害者は 1条で請求
- 3条は 内部的な精算ルール
- 直接、国民が使う条文ではない
👉 出題されたら
「被害者との関係か/行政内部の話か」
を見極めるのがポイントです。
国家賠償法4条への橋渡し
3条が
「国・公共団体同士の関係」
だとすると、次の4条は
👉 国・公共団体と公務員個人の関係
を扱います。
ここで一気に論点が変わるため、
条文番号を追って丸暗記する学習は危険です。
まとめ(第1回)
- 3条〜6条は「例外・調整規定」
- 3条は被害者救済ではなく内部精算ルール
- 1条との役割分担を理解することが最重要
国家賠償法4条の位置づけを先に整理する
国家賠償法4条は、
「公務員個人は責任を負うのか?」
という、行政書士試験で必ず問われる論点を扱っています。
ここで重要なのは、
責任の話が二段階になっている という点です。
- 被害者に対して、誰が責任を負うのか
- そのあと、内部で誰が負担するのか
この切り分けができていないと、
4条は一気に分からなくなります。
国家賠償法4条の基本ルール
国家賠償法4条の中身を、
まずはシンプルに言い換えます。
- 被害者に対する責任主体
→ 国または公共団体 - 公務員個人
→ 原則として直接責任を負わない - ただし
→ 国・公共団体が公務員に負担を求める余地はある
つまり4条は、
「被害者との関係」と「内部関係」を分ける条文 です。
なぜ公務員個人に直接請求できないのか
ここは「理由」を理解しておかないと、
選択肢で必ず迷います。
理由① 被害者救済を確実にするため
公務員個人に直接請求させると、
- 支払い能力の問題
- 責任の押し付け合い
が起きやすく、
被害者救済が不安定になります。
そこで、
資力と組織責任を持つ国・公共団体が前面に立つ
という構造が取られています。
理由② 公務の萎縮を防ぐため
もし公務員が、
「ミス=即個人責任」
という状態なら、
適切な判断を避けるようになります。
行政活動を円滑に行うため、
個人責任を直接問わない設計 が採られています。
理由③ 公務は組織行為だから
公務は、
個人の私的行為ではなく
国や公共団体という組織の活動 です。
そのため、
責任も組織が引き受ける、
という考え方が前提になっています。
行政書士試験で頻出の誤解
ここは引っかけとして非常に多いです。
- ❌ 公務員は一切責任を負わない
- ⭕ 被害者に対して直接責任を負わない
4条は、
公務員の責任を全面的に否定する条文ではありません。
「求償」という考え方(4条後段)
4条の後半で問題になるのが
求償 です。
求償とは何か
- 国・公共団体が
- 被害者に賠償したあと
- 公務員に対して
- 内部的に負担を求めること
👉 被害者は関与しません。
どんな場合に求償が問題になるか
行政書士試験では、
「常に求償できる」 という理解は誤りです。
判断の軸は、
- 故意または重過失があるか
- 職務との関連性
- 公務員の地位や職責
などを総合的に見る点にあります。
👉 軽過失レベルでは、
求償が問題にならないケースが多い
という感覚を持っておくと処理しやすくなります。
条文ごとの「関係性」を整理する
ここで、1条・3条・4条の関係を
崩れない形で整理 します。
- 1条
被害者 → 国・公共団体 - 3条
国 → 公共団体 - 4条
国・公共団体 → 公務員
👉 毎条文で
「誰から誰への関係か」
を必ず確認するのがコツです。
学習でつまずきやすいポイント
多くの受験生が、
- 条文番号順に暗記する
- 文言だけを追う
という勉強をします。
しかし4条は、
主語と相手方を意識しないと確実に混乱 します。
- 誰の話か
- 誰との関係か
この2点を常に確認してください。
まとめ(第2回)
- 4条は公務員の直接責任を否定する条文
- 被害者救済を優先する構造
- 求償は内部調整の問題
- 条文ごとに「関係の矢印」を意識する
国家賠償法5条の位置づけ
国家賠償法5条は、
裁判官が関与する場合の特別ルールを定めた条文です。
ここでまず押さえるべきなのは、
👉 「裁判官だけが特別扱いされている理由」
を理解することです。
条文だけを読むと、
- なぜ裁判官だけ?
- 公務員なのに扱いが違うのは不公平では?
と感じやすいですが、
5条は制度全体との関係で見る必要があります。
国家賠償法5条の基本構造
5条の核心を、先に要約します。
- 裁判官の職務行為については
→ 国家賠償責任が制限される - 原則として
→ 裁判内容そのものを理由に賠償請求できない - ただし
→ 例外的に責任が問題になる余地はある
つまり5条は、
司法判断の独立性を守るための条文です。
なぜ裁判官だけ特別扱いされるのか
ここは行政書士試験で
「理由」を聞かれやすいポイントです。
理由① 司法の独立を確保するため
裁判官が、
- 判決を出すたびに
- 「あとで賠償請求されるかも」
と考えなければならないとしたら、
自由な判断はできません。
👉 外部からの圧力を遮断する必要がある
これが最大の理由です。
理由② 不服申立て制度が既に用意されている
裁判に不服がある場合、
- 控訴
- 上告
- 再審
といった
救済手段が別途用意されています。
そのため、
裁判結果そのものを
国家賠償で争う必要性は低い、
という考え方が前提にあります。
理由③ 1条の枠組みをそのまま当てはめられない
行政処分と違い、
裁判は
- 当事者の主張
- 証拠
- 法解釈
を踏まえた
高度な判断行為です。
これを
単純な「違法行為」と同列に扱うのは不適切
という発想が5条の背景にあります。
行政書士試験での重要ポイント
5条でよくある誤解がこちらです。
- ❌ 裁判官は国家賠償責任を一切負わない
- ⭕ 原則として、裁判内容については責任を問えない
つまり、
👉 「原則免責・例外あり」
という構造を押さえることが重要です。
「裁判官の職務行為」とは何か
ここで注意したいのが、
対象となる行為の範囲です。
5条が問題にするのは、
- 判決
- 決定
- 命令
といった
司法判断そのものです。
一方で、
- 明らかに職務の範囲を逸脱した行為
- 裁判と無関係な私的行為
は、
5条の想定外になります。
👉 すべての行為が守られるわけではない
という点は押さえておきましょう。
1条・4条・5条の違いを整理する
ここで再度、
条文ごとの視点を整理します(note対応)。
- 1条
被害者 → 国・公共団体(原則ルール) - 4条
国・公共団体 → 公務員(内部調整) - 5条
裁判官の司法判断 → 原則として国家賠償の対象外
👉 5条は
1条の適用範囲を限定する条文
と理解すると整理しやすくなります。
学習上の注意点(5条)
5条は、
- 条文が短い
- 出題頻度が高くない
ため、
後回しにされがちです。
しかし、
- 「原則/例外」
- 「なぜ特則があるのか」
を問う
理解型の選択肢で狙われやすい部分でもあります。
👉 丸暗記せず、
制度趣旨で押さえてください。
まとめ(第3回)
- 5条は裁判官に関する特則
- 司法の独立を守るための規定
- 裁判内容そのものは原則として対象外
- 1条の適用を制限する位置づけ
国家賠償法6条の位置づけ
国家賠償法6条は、
**これまでの条文とは毛色が違う「整理条文」**です。
3条〜5条が
「誰と誰の責任関係か」
を扱っていたのに対し、6条は
👉 国家賠償法と他の法律との関係
を明らかにしています。
国家賠償法6条の基本的な意味
6条のポイントは、非常にシンプルです。
- 国家賠償法は
→ 最低限の共通ルール - 他の法律に
→ 特別な定めがあれば、そちらが優先される
つまり6条は、
「国家賠償法は万能ではない」
という前提を示す条文です。
なぜ6条が必要なのか
もし6条がなければ、
- 個別法で特別ルールがあるのに
- 国家賠償法1条だけを機械的に適用する
という事態が起こり得ます。
行政分野では、
- 公害
- 労災
- 医療
- 国家補償制度
など、
分野ごとに独自の救済制度 が用意されています。
👉 それらとの関係を整理するために、
6条が置かれています。
行政書士試験での6条の扱い
6条は、
- 単独で深く問われる
というより、
👉 「他法令がある場合どうなるか」
という形で、
1条と絡めて出題されることが多い条文です。
押さえるべき理解は1つだけです。
- 国家賠償法は
→ 常に最優先されるわけではない
ありがちな誤解(6条)
- ❌ 国家賠償法があれば他の法律は不要
- ⭕ 他の法律に特別の定めがあれば、それが優先
👉 「国家賠償法=基本法」
👉 「個別法=例外・特則」
この関係を頭に入れておけば十分です。
ここまでの総整理(3条〜6条)
最後に、
国家賠償法3条〜6条を
矢印ベースで一気に整理します。
国家賠償法3条
国 → 公共団体
- 行政内部での負担調整
- 被害者は関与しない
国家賠償法4条
国・公共団体 → 公務員
- 被害者への直接請求は不可
- 求償は内部問題
国家賠償法5条
裁判官の司法判断
→ 原則として国家賠償の対象外
- 司法の独立確保
- 原則免責・例外あり
国家賠償法6条
国家賠償法 ↔ 他の法律
- 他法令に特別ルールがあれば優先
- 国家賠償法は共通ルール
1条との関係を最終確認
ここで、
最も大事な軸に戻ります。
- 1条
被害者 → 国・公共団体
👉 これが原則
👉 3条〜6条は、すべて
この原則を前提にした調整規定
という位置づけです。
行政書士試験での使い方(実戦編)
試験では、
条文番号を覚えているかよりも、
- 誰と誰の話か
- 外部責任か内部調整か
- 原則か特則か
が問われます。
選択肢を見たら、まず
- 被害者の話か
- 行政内部の話か
を切り分けてください。
👉 それだけで、
3条〜6条の誤答は激減します。
おすすめ勉強法(条文がつながる)
- 条文番号を縦に暗記しない
- 矢印を書いて関係性を整理
- 「なぜこの条文があるか」を説明できるか確認
これができれば、
国家賠償法は
暗記科目ではなく理解科目になります。
まとめ(最終)
- 3条〜6条は調整・特則の集合体
- すべて1条を前提に理解する
- 「関係性の矢印」が最大の武器
CTA(行動導線)
ここまで読んだら、
次は 過去問で必ず確認してください。
- 1条と4条を混ぜた問題
- 5条の「原則/例外」を問う問題
- 6条絡みの「他法令優先」問題
👉 この記事を横に置いて解く と、
理解のズレが一気に修正されます。
今年の試験の合格のため、頑張っていきましょう!


